何かと世間を騒がせているのが有名人の不倫。そのまま離婚に至る夫婦は多いが……。
「夫の浮気で離婚して2年が経ちますが、日に日に後悔が募ります。カッとなって『もう別れる!』と離婚を告げ、慰謝料200万円を手に家を飛び出して身を寄せた実家には兄夫婦一家が住み、肩身が狭い思いをしました。生活のための収入も不充分だし、子供もいないから生活に張り合いがない。『一度の浮気を許せなかったのが悪いのか。別の選択肢があったのか……』と毎日くよくよしています」(50代会社員)
配偶者の裏切りを許せず離婚に至っても、その選択を悔やむ人は少なくない。実際、離婚した夫婦のうち15%は後悔しているとの調査もある。
もし離婚を考えたとしたら、その選択は果たして正しいのか。悩みが生じたとき、耳を傾けたいのが「不倫調査のプロ」の意見だ。
東京・池袋に本社を置く総合探偵社「MR」は徹底した調査を行うだけではない。一般に探偵の業務は不倫の証拠を突き止めるまでだが、MRは女性スタッフが依頼人に「無料カウンセリング」を行い、何が最も幸せな選択肢になるかまで一緒に考える。
これまで26万件以上の調査を手がけたMR社長の岡田真弓さんは、豊富な経験から「一時の感情で離婚するのは避けるべき」と強調する。
「感情的になると判断力が鈍ります。特に最近はインターネットなどで他人の離婚情報を読んで、『私も別れるしかない』と思い込む人が多いですが、自らの生活環境や夫、そして浮気相手の素性、子供やお金の有無など、個々の状況に応じて離婚に向いているかどうかは異なります。現実に離婚するかどうかはそこまで見極めて判断すべきです」(岡田さん・以下同)
MRでは、夫の不倫がわかったとしても離婚を選択しない依頼者も多い。
「最終的には7割以上が夫婦関係の再構築を選びます。夫への愛情が残っていたり、子供や生活のためだったりと理由はそれぞれですが、『いま離婚したら夫が不倫相手と再婚して、幸せになってしまう』と考える女性もいます」
岡田さん自身、決定的な不倫の証拠を押さえても、「慌てずに3年かけて考えましょう」とアドバイスしている。
「不倫現場の写真など、不倫の証拠は入手してから3年間は、慰謝料請求に有効です。気持ち的にはすぐ離婚したくても、この間は自分や家族の将来について冷静に考える猶予であり、『証拠があるからいつでも離婚できる』という気持ちを持って夫婦関係を見つめ直してほしい。
人間には『3の法則』があり、3か月、3年のように『3』という数字に不思議と心が落ち着くとされます。不倫の証拠も、3年間いつでも有効な“お守り”としてキープしておけばいいのです」
A子さん(44才)は、結婚10年目の夫が常にスマホをいじって家を空けることが多くなり、「怪しい」と直感した。
調査で「夫はクロ」とわかって即離婚を望んだが、「まずは3年考える」との岡田さんの助言を受け入れた。
「この3年の間に心を入れ替えた夫が不倫相手と別れ、A子さんは夫婦仲を取り戻しました。不倫された妻が3年を猶予期間と割り切り、エステに行って自分を磨いて気力を取り戻したり、いざというときのために仕事を再開して自信がついたりと、元気になることも多い。そのうえで『自分はこうしたい』と決断すると、大抵うまくいきます」
※女性セブン2020年12月10日号