新型コロナウイルス感染拡大予防のために、至るところで検温をする機会が増えている昨今、これまで以上に“体温”を意識するようになった人も多いのではないだろうか。
実は、日本人の平均体温が下がっているのだという。成城松村クリニック院長で産婦人科医の松村圭子さんはこう語る。
「戦前の日本人の平均体温は36.9℃だといわれますが、現代人は35℃台の人も少なくない。その原因として考えられるのは、運動不足による筋肉量の低下や夏場のエアコンによる冷え、冷蔵庫ができたことで体を冷やす食べ物が年中食べられるようになったことなどです」(松村さん)
平熱が36.5℃よりも低い人は、生活習慣や食事を見直す必要がある。
最も簡単なのは毎日の入浴だろう。秋津医院院長の秋津壽男さんが話す。
「半身浴や入浴剤で体を温める人は多いですが、血管が拡張したまま外へ出ると、熱が奪われやすく、逆に体温が下がってしまう。お風呂でよく温まった後は、肘から先の腕や手、膝から下に冷水のシャワーをかけると血管が収縮して熱が逃げにくくなります」
布団の中で手足の冷えを感じやすい人はぜひ試してほしい。入浴剤も、選び方によって効果が大きく変わる。免疫のスペシャリストで『体温を1℃!上げなさい』(自由国民社)の監修を務める医学博士の飯沼一茂さんはこう解説する。
「おすすめは『重炭酸温浴法』です。重炭酸の主成分『重曹』と『クエン酸』が血行促進ホルモンの分泌を促します。重炭酸の入浴剤を入れた41℃以下のぬるめのお湯に10~15分つかれば体の末端まで温まります」(飯沼さん)
重炭酸の入浴剤は市販されているが、購入の際は着色料や香料などが含まれていないものを選ぼう。また、ほかの入浴剤と混ぜると効果が半減するので要注意。
さらに、人体で最も熱を産出するのは筋肉。男性より女性の方が冷えやすいのは筋肉量が少ないことが原因だ。
「コロナ自粛もあって運動不足の人が増えています。室内でも体を動かすことを意識し、筋肉の材料となるたんぱく質をしっかり食べましょう」(松村さん)