12月1日から公演されている「十二月大歌舞伎」(東京・歌舞伎座)。第三部『傾城反魂香』の演目で、ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で注目を集めた市川猿之助(45)と“夫婦役”を演じている中村勘九郎(39)が、記者会見(11月16日)でキャスティングについての意外な秘話を明かした。
各紙の芸能担当が集められたこの会見で、勘九郎は、主人公である吃音症の画家・又平を務める心意気とともに、
「團子ちゃんには、僕からオファーしました」
と話したのだ。「團子ちゃん」とは、香川照之(55)の息子である五代目・市川團子(いちかわ・だんこ、16)のことである。團子くんは、この幕で狩野雅楽之助という重要な役を務める。
「猿之助さんと香川さんはいとこ同士。團子くんと猿之助さんはプライベートでも仲が良く、芸の上でも猿之助さんが團子くんを『未来の猿之助』として目をかけています。コロナ禍で歌舞伎上演ができず、歌舞伎役者が動画配信を中心に活動していたときにも、猿之助さんは自分の対談の相手に團子くんを指名していたこともあり、てっきり團子くんの抜擢は猿之助さんによるものだとばかり思っていたのですが……」(演芸記者)
勘九郎と團子くんといえば、「中村屋」と「澤瀉屋」で屋号も違い、これまで主だった共演もない。その勘九郎が團子くんを“指名”したということに、現場はざわめいたという。
ところが、そこには意外な事実があった。
「実は、勘九郎さんの長男で三代目中村勘太郎である七緒八くん(9)が、團子くんのファンなんです。團子くんと市川染五郎くん(15)が共演する『やじきた』のシリーズが好きで、観劇にいくと、勘九郎さんにねだって團子くんの舞台写真を買ってもらうそうです。勘九郎さんも、そんな息子の様子に目を細めていて、勘九郎自身がファンである日向坂46のコンサートに團子くんらを招待したと聞いています」(梨園関係者)
会見では、「役者は同じ空間で体験することが大事」「團子ちゃんにも四代目(猿之助)の傍でパワーを感じてとって欲しい」と話していた勘九郎。コロナ禍の中でも、次の世代にバトンは繋がれていく。