羽田空港第3ターミナル(国際線)でレストランや土産物店が並ぶエリア「江戸小路」は、昼食時にもかかわらず人影もまばらでひっそりしていた。「休業」の張り紙を掲示して閉ざしている店も少なくない。
新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)で人の移動が制限されるなかで、航空業界も大打撃を受けている。特に国際線は、各国の厳しい出入規制で旅客数が激減し、未曾有の危機となっている。
10月30日にJAL(日本航空)は第2四半期連結業績を発表しているが、国際線の旅客数は前年対比で97.7%もの減となり、国際線旅客収入も前年比96.6%減の91億円でしかなかった。ANA(全日本空輸)も10月27日に発表しているが、旅客数は96.3%減、旅客収入も94.2%減の196億円となっている。こうした危機的状況は各国の航空会社も同じであり、だからこそ空港も人がいない状態となっているのだ。
「世界の航空業界でも旅客数が95%以上も減少していると言われているし、当社の国際便はほぼ黒字できていたので、かなり厳しい状況にあるのは確かです。しかし、旅客が95%以上減っているからといって、飛んでいる飛行機の数も95%減になっているわけではありません」
そう語るのは、ANAの企画室ネットワーク部事業計画チームの山本岳マネジャーだ。
新型コロナ前に策定したANAの旅客便事業計画では、11月には約5400便の国際旅客便が運行されることになっていた。それが実績では、1850便となっている。旅客数は9割以上も減っているが、飛ばなかった飛行機の数は7割弱となっているのだ。それも、大赤字で飛んでいたわけでもない。
「旅客は乗せないけれど、貨物だけ積んで運行している旅客機が多くなっているからです」と、山本マネジャー。