寒さとともに新型コロナウイルスの「第3波」が到来。緊急事態宣言時の不安な雰囲気が再び日本を覆っている。しかし、当時と違うのは専門家の研究により、シャットアウトするために有効な対策がわかりつつあること。
一方、思い込みやウイルスの特徴を無視したやみくもな対策は意味がないうえ逆効果なことも明らかになりつつある。ウイルスを熟知している感染症の専門医に取材し、コロナ対策におけるポイントをお伝えする。
「重要なのは手の衛生、つまり手洗いと消毒です。これに加えて飛沫感染を防ぐマスク。私自身もこの“3本柱”を心がけています」
そう話すのはKARADA内科クリニック院長で日本感染症学会専門医の佐藤昭裕さんだ。ウイルス対策の中でも基本中の基本なのが手洗いだが、実際にはきちんと洗えていない人が多い。
「石けんをつけて満足する人が多いですが、石けんそのものに抗ウイルス効果はなく、30秒かけてしっかり流水で洗い落とすことがポイントです。特に洗い残しやすいのが、手の甲、指の間、親指、指先。この4点を意識的に洗い、後は手首までまんべんなく“もみ手”をすることです」(佐藤さん)
国立がん研究センター中央病院で感染症部長を務める岩田敏さんは、手洗い後も気を抜いてはいけないと指摘する。
「家の外で手を洗うときは、蛇口にウイルスがついている可能性がある。手を洗ってペーパータオルで拭いた後、そのペーパータオルを使って蛇口を閉めること。直接蛇口に触れずにすみます」(岩田さん)
外出先では消毒液を使う機会も多いが、ここにも注意すべきポイントがある。
「“多く出しすぎてはいけないから”と軽くポンプを押す人も多いですが、私は必ず消毒液は“ワンプッシュ押し切る”ことを実践しています。ほとんどの消毒液はしっかり押し切ったときに出た量が適量になっています。アルコールが乾くまで、両手にしっかりともみ込むことも大切。早く乾かそうと、手をパタパタと振る人を見かけますが、それではアルコールが行き届かないまま揮発してしまいます」(佐藤さん)
手洗い、消毒と並んでウイルス対策の根幹を成すマスク。専門医は医療用の「サージカルマスク」を使用しているというが、私たちが選ぶならどんな基準を持つべきか。
「市販のマスクの中では、不織布が飛沫防止に適しています。また、マウスシールドも飛沫の拡散防止にはある程度の意味はありますが、自身への感染を防ぐ効力は低い」(岩田さん)
間違ったつけ方をしていないかどうかにも注意したい。
「マスクから鼻を出したり、鼻から頬にかけて隙間ができていたりするのでは意味がありません。マスク上部の針金を鼻に沿うようにしっかり折り曲げて密着させるのがポイントです」(岩田さん)
※女性セブン2020年12月17日号