多士済々のメンバーとなった砂の頂上決戦。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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JCダートとして始まってから過去20回で、1番人気馬が7勝2着6回3着3回。訳の分からぬうちに始まった第1回(2000年)。ローマンレジェンドが4着だったものの、ニホンピロアワーズ、ワンダーアキュート、ホッコータルマエという実力馬3頭で決まった2012年。そしてなぜかこのレースになるとおとなしかったコパノリッキーが着外に去った2014年と2015年。1番人気が馬券圏内から外れたのはこの4回だけだ。
今年は牡牝とも強い三冠馬が誕生、スプリンターズSからの秋競馬でも1番人気馬が7連勝、これまでの19回で13勝もしている。例年この時期までの1番人気馬は5勝か6勝というのが平均的。ここ10年では2010年の9勝というのが目立つぐらいだ。無観客、入場制限による影響があるのだろうか。いずれにせよ、国内で8戦8勝、このレース連覇を狙うクリソベリルにとっては、鬼に金棒といったデータだが、さて、「JBCクラシックの呪い」から逃れることができるだろうか。
2001年にアメリカのブリーダーズカップを範にし、地方交流レースとして創設されたジャパンブリーダーズカップ(JBC)。その中でも、2000mを基本とするクラシックは、ダート路線の王道だ。
優勝馬はずっとJRA所属馬。ちょうどチャンピオンズカップ(JCダート)の1か月前ほどに行なわれるため、前哨戦としてはもってこいで、ダートの雄といわれたアドマイヤドンやヴァーミリアンは3連覇を、スマートファルコンやコパノリッキーは連覇を果たしている。
過去19回の勝者のうち、チャンピオンズカップ(JCダート)に駒を進めた16頭のうち9頭が1番人気に推されたが、連勝を果たした馬は2007年のヴァーミリアンただ1頭。2着4回3着3回と上位に来ている馬は多いが、2014年のコパノリッキー、2017年のサウンドトゥルー、2018年のケイティブレイブは二桁着順だった。
逆に2013年にJBCクラシックを制したホッコータルマエは、JCダートで3着に敗れたが、翌年はJBCクラシックで4着ながら、(この年から)チャンピオンズCを勝っている。JBCクラシックで2着以下になりながら、このレースを勝っているのは4頭。2015年に12番人気で勝ったサンビスタも、JBCレディースクラシック2着から大逆転勝利だった。
適性もあるのだろうが2010年、2011年と連覇したスマートファルコンは、JCダートを使わず東京大賞典を連覇。
周知のようにJBCは強い馬と、中央では1、2勝クラスの地方馬が一緒に走る。時には前を行く5、6頭とだいぶ離された5、6頭という二つの競馬が同時に行なわれていると言われることさえあるのが地方交流レースだ。
実力馬は何頭かかわせば前に他の馬がいない景色を見ることができてしまう。1か月前に、一発を狙う伏兵馬の存などを気にすることなく、比較的ストレスの少ないレースをしたことがマイナスに作用してはいないか。
一方、JBCの2、3着馬は、最後の直線で勝ち馬を前に馬を目標に懸命に追われて走っている。本番1か月前、何よりの調教になったかもしれない。もちろんスタッフも「次は何とか巻き返す」と意気込む。
昨年JBCクラシックを勝ちながら、14戦目のチャンピオンズCで初めて馬券圏内からはずれたチュウワウィザードは、今年JBCクラシックで3着。このレースを含めクリソベリルには3戦3敗だが、前走では1、2着馬のペースメーカーになってしまった印象。しかし、かわされてもしぶとく食い下がって3着を確保。休み明けだっただけに、ひと叩きした効果も見込めそうだ。トサキクオリティ、そろそろ存在感を見せてほしい。
クリソベリルとの馬連、馬単を厚めにしつつルメールが見限ったかたちになる曲者たち、エアアルマス、ゴールドドリーム、モズアスコット、タイムフライヤー。さらに松若騎手が手の内に入れた感のあるサンライズノヴァにも流したい。カフェファラオは種牡馬アメリカンファラオへの期待が現時点では大きすぎはしないか。2番人気馬が過去20回で2勝3着1回だけで3着内率がが3~8番人気以下という「2番人気馬の呪い」も実は気になっている。
過去20回のうち1番人気馬が13回連対していても馬連が1000円以下だったのは3回だけ、3連単の1万円以下は2回しかない。1番人気馬は尊重しつつ、三連単の2着3着付けや、ワイドなども織り交ぜながら楽しめばいいレースだ。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。