スポーツ

大野倫がケガに泣いた甲子園を回顧「未来のため意味があった」

大野倫が壮絶な高校野球部時代を振り返る

大野倫が壮絶な高校野球部時代を振り返る

 1991年、第73回全国高等学校選手権大会の決勝は、前年準優勝の沖縄水産が沖縄県勢初の優勝を目指したが、大阪桐蔭に敗れた。閉会式では、沖縄水産の大野倫投手が、右肘が曲がったまま行進する様子が全国中継され過酷な日程などに苦情が殺到、翌年から投手の肩や肘の関節検査を導入するきっかけとなった。その後、プロ入りし、現役引退後は故郷の沖縄で子供たちへの野球指導にたずさわる大野が、当時のことを振り返る。

 * * *
 小学校から野球を始め、ずっとプロ野球選手を夢見ていました。高校で当時、県内最強と言われていた沖縄水産に進学したのも、プロ野球への登竜門である甲子園に行くためです。ただ、いざ高校に入ってみたら、プロに行きたいなんて考える余裕がないほど、想像を絶する過酷な世界が待ち受けていました。

 時代的に全国の強豪校はどこもそんな風潮だったと思いますが、当時の沖水野球部での毎日は、まさに軍隊のようでした。寮生活において下級生の頃は深夜まで先輩のマッサージや洗濯、寮の食事は先輩に根こそぎ食われ、水産高校で男子ばかりなので恋愛もできない。「寝られない」「食えない」「恋できない」といった状態が入学以来続きました。

 平穏な日々が訪れるのは、高校2年の夏の大会が終わって自分たちの代になってから。それまでは冗談抜きで一日一日を生き抜くのが精一杯で、身体のケアなど一切考えたことはありませんでした。

本能的に普通のケガではないと感じた

 そんな状態で迎えた高校3年の5月。熊本遠征でのダブルヘッダーで2試合とも先発完投し、MAX144キロが出るなど絶好調でした。当時は140キロが剛速球投手の証であり、自己新の144キロが出たことで気分が良かったのを覚えています。意気揚々と沖縄に戻り、練習前のキャッチボールを始めた時に、悲劇が起きました。

 中間距離でボールを投げた瞬間、突然「グギッ!」と右肘の骨が軋み、折れたような音が身体中に響き渡ったのです。「やばい」と思ったと同時に激痛が走り、この瞬間、目の前が真っ暗というか、遠征で調子が良かっただけに天国から地獄に落とされたようでした。これは普通のケガではないと本能的に思いました。そこからです。右肘が二度と伸びなくなったのは……。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン