ボクシング元世界ヘビー級王者、マイク・タイソン(54)の15年ぶりとなる復帰戦が11月28日、米ロサンゼルスで行なわれ、エキシビションマッチながら元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.(51)を圧倒し(結果は引き分け)、世界中のファンを歓喜させた。
タイソンが試合後に「またやりたい」と参戦継続を表明し、次の対戦相手に注目が集まるなか、因縁の宿敵が声を上げた。
「世界は待っている。君が答える番だ。私の準備はできている」
元世界ヘビー級王者、イベンダー・ホリフィールド(58)。あの「耳噛み事件」の被害者である。タイソンは1996年11月にホリフィールドに敗れヘビー級王座から陥落。翌年6月の再戦でタイソンが耳を噛み切る蛮行に及び、反則負けとなり世界中から非難を浴びた。
ホリフィールドも現役を離れて10年が経つが、復帰に意欲を見せている。タイソンにとっては汚名を晴らすチャンスであり、3度目の対戦に世界中の注目が集まっている。
もし実現したらどちらが勝つのか。ボクシングライター、原功氏はこう推測する。
「復帰戦のタイソンは、あの独特の動きで上体を振って相手の懐に入り、ボディーから顔面へ打ち分ける現役時代を彷彿とさせる動きを見せ、想像以上の仕上がりでした。ただ、タイソンにとってホリフィールドは相性が良くない。ホリフィールドはハートが強くタイソン得意の圧力に屈することがないため、過去の戦いではタイソンが思う通りにできず、耳噛み事件に発展しました。経済的な事情からリング復帰を目論んでいるというホリフィールドがどれだけ本気になって肉体を仕上げられるかによりますが、面白い試合になると思います」
“砂を噛む”ような凡戦だけは避けてもらいたい。
※週刊ポスト2020年12月18日号