コロナ危機が深まる中で政治家の発言の変節が際立つ。この国の政治家がコロナ危機の中で何を発信し、発言をどう変えてきたのか──。
加藤勝信・官房長官といえば、厚労相時代には「37.5度の発熱が4日間以上」という政府が定めた基準を、「われわれから見れば誤解」と言い放って国民のせいにした。官房長官になってからも“逃げっぷり”は健在だ。
臨時国会で新型コロナのワクチン費用の全額を国が負担する予防接種法改正案が成立した。同法ではワクチン接種を国民の「努力義務」と位置づけているが、専門家からは副反応のリスクが指摘されている。
加藤氏は会見(11月19日)でワクチンを接種するかについて問われると、「様々な情報を勘案して判断する」とウヤムヤにした。大臣でさえワクチンを打つのが怖いのに、国民には努力義務を課す。副反応が出ても自己責任ということなのだ。
感染拡大の見通しについても、根拠なき楽観論を振りまいた。
「直ちに病床が逼迫する状況にはない」(11月9日の会見)と強調したものの、病床使用率はその翌週(11月18日集計)に9都道府県、翌々週(25日集計)では15都道府県でステージIII(感染急増)と瞬く間に逼迫していった。