新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、コロコロと変わっているのが政治家の発言だ。菅義偉首相は「国民の皆さんの命と暮らしを守る」と豪語しながらも、Go Toキャンペーンを推し進め、そのうえで「(Go Toキャンペーンが)感染拡大の主要な原因とのエビデンスは現在のところ存在しない」と発言した。
そうした無責任な発言をしているのは、菅首相だけではない。麻生太郎・副総理兼財務相もまた、ご都合発言が止まらない。
「どのみち私はちょっと偏見があるので恐縮だが、これは風邪だから、はやり病だから」
「この種の話は6月に何となく収まるのかなと思わないでもない」
麻生氏が楽観的な見通しを語っていたのは緊急事態宣言下にあった5月12日の参院財政金融委員会。ほどなく宣言が解除されると、日本のコロナでの死亡率が欧米より低いことを「国民の民度のレベルが違う」(6月4日の同委員会)と言い放ったことは記憶に新しい。
だが、感染が拡大すると見通しの甘さを反省するどころか、10万円の特別定額給付金を“配りすぎた”と愚痴り出した。
「10万円支給で当然、貯金が減るのかと思ったらとんでもない。その分だけ貯金が増えました。カネに困っている方の数は少ない」(10月24日の政治資金パーティー)
「生活が厳しいところに10万円いって、そうじゃない人も10万円もらったわけだろう、必要もないのに。別に食うに困っているわけじゃないんだからさ。(中略)家計金融資産は約1900兆円あるんだから、その金がどんどん出ていってもらわないと個人消費が伸びない」(10月27日会見)
何を言いたいかというと、この副総理は国民が貯め込んだカネを召し上げたいのだ。