臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は『この恋あたためますか』(TBS系)に出演中の俳優・中村倫也(33才)について。
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「この俳優は“あの”俳優?」。以前放送されたドラマと現在放送中のドラマ、2つを楽しみに見ていながら、しばらくの間、演じているのが同一人物だったことに気付かなかった。ファンの方には鈍いだけと言われるだろうし、演じた役柄が真逆だったこともある。だがすぐ気付けなかったのはなぜか、気になった。
その俳優は、“カメレオン俳優”と呼ばれる中村倫也さん。これまで、第22回読売演劇大賞優秀男優賞やエランドール新人賞など数々の賞を受賞しており、演技力の高さは折り紙付きのイケメン俳優だ。ちなみにカメレオン俳優とは、同じ人間が演じていると思えないほど、外見や雰囲気、話し方、性格を演じ分けることができる役者のことを言う。
2つのドラマのうち1つは、今週第8話が放送された森七菜さん主演の『この恋あたためますか』(通称・恋あた)。中村さん演じる浅羽拓実は、コンビニチェーン「ココエブリィ」の社長。夢破れ、ココエブリィでアルバイトしていたスイーツ好きの井上樹木(森七菜)と浅羽が出会い、コンビニスイーツの開発を通して互いに引かれていくという物語だ。中村さんは、余計な事は口にしない、表情も変えないという知的でクール、冷静な役柄ながら、表情豊かに格好良く演じている。
もう1つのドラマは、昨年夏に放送され話題になった黒木華さん主演の『凪のお暇』(TBS系)。中村さんが演じたのは、会社を辞め、恋人とも別れ人生をリセットしようとボロアパートに引っ越してきた黒木さん演じる大島凪の隣人、安良城ゴン。ゴンはいつも穏やかで誰にでも優しいが、掴みどころがなく誰にも執着せず感情の起伏も無いという役柄。下手な役者だとタダのクズ男になる役どころを、中村さんは確かな演技力で不思議な魅力を併せ持つゴンを作り上げていた。