中国の最貧困地区のひとつ、貴州省の少数民族居住区、ミャオ族トン族自治州剣河県に高さ66mものミャオ族の巨大な女神像が建設された。剣川県政府では観光の目玉にして多くの観光客を呼び、県の財源にしようと大々的な宣伝活動を行っている。
その建設費用は現段階で8600万元(約13億8000万円)となっており、さらに今後は女神像周辺の整備などで2000万元が必要となり、合計で1億元以上の費用となる。
県民のほとんどが都市部の10分の1以下の年収とされ、日々の生活がやっとなだけに、多くの専門家は「そんな財源があるなら、貧困対策に回すべきだ」と指摘するなど、物議を呼んでいる。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
このミャオ族の女神は「仰阿莎(ヤンアシャ)」と呼ばれるもので、そのヤンアシャの恋の物語が同県でずっと語り継がれている。ヤンアシャはミャオ族の人々の間で美しい女神と敬慕され、ミャオ族の愛と生命に対する賛美のシンボルとして、2008年には中国の無形文化遺産に選ばれている。
2017年にはヤンアシャの2次元キャラクターが公募され、最優秀作品は、キャラクターグッズなどの販売やアニメドラマなどの制作などが検討されている。
そういった一連の取り組みの第一歩として、2017年から県内の中心部にヤンアシャの巨大な女神像が建設され、今年夏にはほほ完成した。その高さは66m。アメリカのシンボルであるニューヨークの自由の女神像は、頭上のトーチ(たいまつ)まで含めても46mなので、ヤンアシャの女神像の方が20m高い。