新型コロナウイルスの感染拡大で、さまざまな感染予防アイテムを手にする機会が増えた。その中には「消毒」という言葉が書かれているアイテムもある。日本石鹸洗剤工業会『石けん洗剤の基礎』によると、「消毒」とは、〈物体や生体に付着または含まれている病原性微生物を、死滅または除去させ、害のない程度まで減らしたり感染力を失わせて毒性を無力化させること〉を意味するという。
その「消毒」という言葉の意味を理解せずにいると、役割を誤って使用してしまうケースもある。埼玉県済生会栗橋病院 看護課長 感染管理認定看護師の小美野勝さんはいう。
「空間に消毒液などを噴霧するかたがいますが、ウイルスや細菌は微小なものなので噴霧で殺すことはできません。逆に、消毒液を吸い込んで健康被害を起こす危険性もあるので注意が必要です。それよりも、ドアノブや照明のスイッチ、トイレまわりなど、人がよく触れるところをしっかり拭くことの方が感染予防では有効です」(小野さん・以下同)
最近では自宅で消毒液を作る人も増えてきたが、その際はいくつかの点に注意したい。
「自治体のホームページなどでも塩素系漂白剤を使った消毒液の作り方が紹介されていて、容器としてペットボトルを利用するかたがいますが、無色透明のため誤飲を招くケースが少なからず見られます。小さいお子さんやご高齢のかたの手の届かないところに置くことはもちろんですが、奥さんが作っておいた消毒液をご主人が間違えて飲んでしまったという事例もあるので注意してください。24時間以内に使い切り、使用後の容器はすぐに捨て、放置しないようにしてください」
そして何より、自らの手指の衛生を保ちたい。
「感染予防の基本はやはり手洗いが第一。殺菌や消毒を一生懸命やるよりは、手洗いをしっかりして自分の手指を清潔に保つようにしましょう」