「世界的に国際線路線は競争により寡占化が進んでいる。日本も国際線は1社でいい」。12月2日、ロイターのインタビューでこう答えたのは、政府の成長戦略会議で民間議員を務め、“菅内閣のブレーン”とも言われる竹中平蔵氏(慶應大学名誉教授)だ。
ANAは2021年3月期決算の業績予想で純損益が過去最悪となる5100億円の赤字になる見込みと発表。JALも同2700億円の赤字を見込んでいる。11月にはお隣・韓国で、政府主導による大韓航空のアシアナ航空買収計画が発表されたばかり。新型コロナによる経営不振が深刻な中、竹中氏の発言は意味深である。
もし2大航空会社が再編となれば利用者への影響は大きい。とりわけ気になるのが旅行や買い物のたびにせっせと溜めてきた「マイル」である。
「フライトだけでなくカード決済のポイントも全部ANAのマイルに変換してきて、いまや地球2周分くらい溜まっています。もしJALと合併したら、僕のマイルはどうなるのか」(ANAユーザーの40代男性)
「マイルだけでなくFLY ONポイント(JALのポイントサービス)も問題です。やっと上級会員になるまで溜めて、空港の専用ラウンジを使えるようになったのに……」(JALユーザーの30代女性)
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏が語る。
「マイルの統合は難しい問題で、どちらの会社が合併の主導権を握るかで変わってくるでしょう。利用者に不便や不公平感が生じないよう配慮するとは思いますが、立場が強い会社のルールに従ってマイルが見直される可能性はある。今回、韓国では大韓航空がアシアナを吸収する形ですが、アシアナユーザーがマイル関連でデメリットを被る可能性は否定できない」
ANA、JAL両社に「もし合併したらマイルはどうなるか」を聞いたところ、「仮定のお話にはお答えできかねます」(ANA広報部)、「現時点では想定していません」(JAL広報部)との回答だった。“着陸地点”は見えない。
※週刊ポスト2020年12月25日号