20日の夜、注目の2番組が同じ時間帯に放送される。漫才日本一を決める『M-1グランプリ2020』と今年大ヒットしているアニメ『鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編』だ。視聴率ではどちらに軍配が上がるのか? その展望を視聴者獲得のための両番組の仕掛けとともに、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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この一週間、20日夜に放送される番組に関するニュースが飛び交っていました。1つは漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2020』(朝日放送・テレビ朝日系、18時34分~22時10分)、もう1つがアニメ『鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編』(フジテレビ系、18時59分~21時14分)。
『M-1』は16回目を数える最高峰のお笑い賞レース。今回は史上最多の5081組がエントリーした激戦で、見取り図、オズワルド、ニューヨーク、マヂカルラブリーなどの経験者がファイナリストに名を連ねました。さらにその反面、ミキ、EXIT、四千頭身ら人気者のお笑い第7世代が準決勝にも残れなかったことが、「やはり『M-1』はガチ」という決戦ムードを高めています。
一方、『鬼滅の刃』は歴代興行収入1位が間近に迫る『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に続く前日譚。すでに見た人の多いテレビシリーズの特別編集版ですが、描き下ろしの新規イラストやスペシャルエンドロールなどの新作映像が入ることでファンを喜ばせています。さらに終了直後の21時14分~21時20分には、ミニ番組『「鬼滅の刃」アフタートーク』も放送。『M-1』が最終決戦に向かうであろうタイミングでオリジナルコンテンツをぶつけるなど対決ムードが漂っています。
他局に目を向けると、日本テレビは通常通りの『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』、TBSは特番の『日本を変えた!あの重大事件の新事実2020』、テレビ東京は定期特番の『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』、NHKは大河ドラマ『麒麟がくる』などを放送。しかし、業界内も一般視聴者も、「今回は『M-1』vs『鬼滅の刃』の一騎打ちになるだろう」という見方で一致しています。
2か月の空白と放送曜日・時間の変更
そもそも他局にとって『M-1』は、「負け戦」を意識せざるを得ない番組。ここ3年間の世帯視聴率を見ても、2017年が関東15.4%、関西24.0%、2018年が関東17.8%、関西28.2%、2019年が関東17.2%、関西26.7%という高視聴率を記録しました(ビデオリサーチ)。
日曜夜に日本テレビのような人気番組がなく、かといって普通の特番では『M-1』に太刀打ちできないフジテレビが『鬼滅の刃』の放送を考えるのは自然な流れ。実際、フジテレビが放送するアニメ『鬼滅の刃』の特別総集編は、10月10日の「兄妹の絆」、同17日の「那田蜘蛛山編」に続く3回目ですが、過去2回は10月であり、しかも土曜21時台の『土曜プレミアム』での放送でした。