コロナ騒動により、長い時間家にいることを余儀なくされた2020年。あの人はどんな本を読んだのか? 読書家の著名人4人に「私が選ぶ3冊」を選んでもらった。
●壇蜜(タレント)
『若草物語』L・M・オルコット 訳・吉田勝江(角川文庫)
独りっ子の私、可憐な4姉妹の青春の日々に触れたくなりました。大人になってからよむ若草物語……思春期や初恋の描写に返って身悶えます。時代や家柄に縛られていても、女性として強く優しく生きた彼女たちの足跡を辿りましょう。こんな時代ですから。
『意味が分かると震える話』藤白圭(河出書房新社)
『明日から使える死亡フラグ図鑑』茶んた(宝島社)
●武田友紀さん(HSP専門カウンセラー)
『すべて忘れてしまうから』燃え殻(扶桑社)
生きることのキツさと複雑さが、優しい眼差しで描かれたエッセイ。過去と現在が入れ子のように展開され「こういうこと、私にもあったよ」とあたたかい気持ちが湧いてくる。一日の終わりに、ごほうびのお菓子を食べるように大切に読みました。
『みみずくは黄昏に飛びたつ』川上未映子、村上春樹(新潮文庫)
『ポリヴェーガル理論入門 心身に変革をおこす「安全」と「絆」』ステファン・W・ポージェス 訳・花丘ちぐさ(春秋社)
●トミヤマユキコさん(マンガ研究者)
『薔薇はシュラバで生まれる 70年代少女漫画アシスタント奮闘記』笹生那実(イースト・プレス)
70年代の少女漫画界をその目で見てきた著者が、美内すずえや山岸凉子といったレジェンド達との思い出を、それぞれの作家のタッチで描きます(この描き分けがホントにすごい)。笑いあり涙ありホラーありのエピソードも最高。資料性も高いです!
『A子さんの恋人』近藤聡乃(KADOKAWA)
『爪のようなもの・最後のフェリー その他の短篇』森泉岳土(小学館)
●Aマッソ 加納愛子さん(芸人)
『俗物図鑑』筒井康隆(新潮社)
「若い頃、電車で読んでいて笑いがこらえられなかった」とオカンから聞いて、嫉妬して実家から持ち帰った一冊。「親も人間だ」と理解するのには、精神が大人になるよりも同じ本を読むほうが手っ取り早いかもしれない。超俗超おもろ本。
『十二月の十日』ジョージ・ソーンダーズ 訳・岸本佐知子(河出書房新社)
『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ(ポプラ社)
※女性セブン2021年1月7・14日号