美輪明宏(85才)の肩書きを一言で表すことは難しい。俳優、歌手、スピリチュアルの担い手……その多才さを三島由紀夫は“聖なる怪物”と称した。そんな美輪から1つ“称号”が消えたという。
バラエティー番組『ありえへん∞世界』(テレビ東京系)で「昔は霊感があっていろいろなものが見えたり聞こえたりした。だけど、最近はバタっと何も見えなくなった」と美輪が告白したのだ。
過去にはスピリチュアルブームの火付け役となったトーク番組『オーラの泉』(テレビ朝日系)に出演し、悩める人たちの相談に乗っていた美輪。ただ、これは10年以上も前の話。2005年4月に始まった『オーラの泉』は2009年9月に放送を終了し、以降スピリチュアル番組は徐々に減っていった。
「番組は高視聴率でしたが、負の影響力も大きかった。巷には“オーラが見える”などと語る自称霊能師が増え、“霊感商法による被害の危険性を高める”という苦情も来ました。中学生が霊界の話を信じて自殺する事態にもなり、ついには番組中に“前世や守護霊は科学で証明されたものではなく、人生をよりよく生きるヒントです”などのテロップを出すようになったのです。次第にスピリチュアル番組は淘汰されていきました」(テレビ局関係者)
高まる放送倫理がスピリチュアル番組を終わらせた。そして美輪のような存在も、霊感を語れなくなったのである。現在、美輪は、朝日新聞の定期連載『悩みのるつぼ』や、この9月に放送されたNHKの『愛のモヤモヤ相談室』(Eテレ)など、あくまで自身の豊富な人生経験を生かした“お悩み相談のご意見番”という立場を見出している。
「美輪さんは4~5年ほど前から“見えなくなった”と話していますが、話す内容はスピリチュアル番組のときからオーラや守護霊を抜いただけで、上からバッサリと断じる美輪節は健在。それが読者や視聴者には爽快なんです。結局、われわれは霊の力ではなくて、美輪さんのような人に教えを乞いたいという思いがあるのでしょうね」(別のテレビ局関係者)
霊よりも生きている美輪の方がパワーがありそうだ。
※女性セブン2021年1月7・14日号