誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。競馬を題材とした作品も手掛け、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する作家・須藤靖貴氏が、陣営(馬主さん、厩舎、生産牧場)と騎手を仲介するエージェント(騎乗依頼仲介者)に着目、4人のジョッキーと契約する現役トラックマンに話を聞いた。
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馬主さんや厩舎などの陣営とジョッキーの間を取り持つエージェント(以下age)。同じageに属するジョッキーが同じレースに乗った時の人気と着順のデータを取ったらどうなったか。まず腰が痛くなった(笑)。面白くて長時間パソコンにへばりついたせいだ。
重複は多く、所属3騎手が同レースに騎乗することもしょっちゅう。その場合、age内の騎手序列を見れば馬券的参考になるのではと踏んだわけである。
実際どんな塩梅なのか。4人のジョッキーと契約する現役トラックマンのX氏に話を聞いた。
「ぜひA君に」というとき、騎乗が決まっていれば、「Bでどうでしょう」となってOKならば重複する。ageと陣営には信頼関係があり、「じゃ、いいです」とは滅多にならない。「Bも決まっている。Cではどう?」という場合は3騎手重複となる。
このとき、持ち札の序列(リーディング順)どおりに話が進むのかというと、ケースバイケース。仮にAとBは騎乗技術も確かな中堅どころ、Cは若手だとする。陣営は中堅に騎乗させたい。だが、「その馬ならCも巧く乗れそうだ」と判断すれば売り込むのである。時にはウソをつく(!)。「もう決まっちゃってて。C、今乗れてますよ」と。経験を積ませたい親心。結果、好騎乗となればウソも方便となる。
騎手と陣営の軋轢解消のためのエージェント制度だが、一般的に揉めることも珍しくない。「オレに回ってくる馬は全然走らないぞ」と。