100年以上の歴史を誇る箱根駅伝は、数々の名ランナーを生み出してきた。『週刊ポスト』読者が選んだ「歴代大会で印象に残るランナー」アンケートを集計した。
読者アンケート上位には柏原竜二(1位、元東洋大、2009~2012年)、神野大地(3位、元青学大、2013~2016年)、今井正人(4位、元順天堂大、2004~2007年)と箱根の山を登る5区で、驚異的な区間新やごぼう抜きの快走を見せ、芦ノ湖のゴールテープを切ったランナーの名前が並んだ。
山の神“4代目”を襲名する可能性があるのは誰か。スポーツライターの酒井政人氏が解説する。
「一番近いのが前回も5区区間賞の東洋大・宮下隼人君(3年)でしょう。前回のタイムを上回り、1時間9分台前半で走れる可能性があるのではないか。距離変更があったので柏原君や神野君と単純なタイム比較はできないが、ほぼ同じ距離だった時代の今井君(1時間9分12秒)に近いタイムが出せれば、5区でのごぼう抜きが期待できます。
青学大は前回5区で区間2位の飯田貴之君(3年)がいるが、留年して“5年生”として箱根に臨む竹石尚人君(4年)も山登りに意欲を示している。12月29日発表の区間エントリーでの原晋監督の采配が注目されます。あと、駒澤大の大八木弘明監督が“1年生の隠し球”を5区に用意しているという情報もある」
以下、読者アンケートで「印象に残ったランナー」ベスト10
【1位】柏原竜二(東洋大、2009~2012年)
1年生から5区で区間新。4分58秒差を逆転し優勝に貢献した。4年間5区を走りすべて区間賞(うち3回が区間新)という「2代目・山の神」。
【2位】瀬古利彦(早稲田大、1977~1980年)
4年連続で「花の2区」を走る。3年、4年次には直前の12月に福岡国際マラソンで優勝したうえに、箱根でも区間新を記録してみせた。
【3位】神野大地(青学大、2013~2016年)
「3代目・山の神」。3年生で初めて5区に抜擢されると、区間新記録の快走を見せる。青学大史上初の総合優勝の立役者となる。
【4位】今井正人(順天堂大、2004~2007年)
5区で3年連続区間新の「初代・山の神」。2年次は11人抜き、3年、4年次には2年連続往路逆転優勝で芦ノ湖のゴールテープを切った。
【5位】渡辺康幸(早稲田大、1993~1996年)
名門チームで1年次から2区に起用され、3年次は2区史上初となる1時間6分台の区間記録を打ち立てる。甘いマスクで人気を博した。
【6位】大迫傑(早稲田大、2011~2014年)
ルーキーながら起用された1区で区間賞を獲得し、チームも総合優勝。1区にスピードランナーを配す大学が増えるきっかけとなった。
【7位】佐藤悠基(東海大、2006~2009年)
1年生から3年連続で区間新記録を達成(3区、1区、7区)。1区の1時間1分6秒は現在まで残る最も古い区間記録となっている。
【8位】櫛部静二(早稲田大、1991~1994年)
1年生で抜擢された2区で、トップで襷を受けるも後半に失速。14位まで落ちる大ブレーキに。3年次には1区区間新でリベンジを果たす。
【9位】相澤晃(東洋大、2017~2020年)
好記録が連発された前回大会のなかでもひときわ目立つ、2区で1時間5分57秒という驚異の区間記録を打ち立てた。
【10位】谷口浩美(日体大、1980~1983年)
2年次から3年連続で6区で区間賞(うち2回が区間新)を獲得した山下りのスペシャリスト。4年次にはチームを総合優勝へと導いた。
※週刊ポスト2021年1月1・8日号