コロナの感染拡大に伴い、世論の中でも東京オリンピック・パラリンピック開催に疑問の声があがっている。そこで、五輪開催に否定的な憲法学者の小林節・慶応大学名誉教授に見解を聞いた。
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「震災復興のため」「スポーツの祭典」と言えば聞こえはいいが、このまま開催しても国民が望むイベントにならないのは明白です。コロナという大きな脅威の前では、そのようなスローガンは的外れで白々しいものに感じます。
ワクチンが開発され、アメリカ、イギリスなどで着々と接種が進んでいますが、世界の7割の人にワクチンが行き渡らない限りパンデミックは収束しない。オリンピックの時期までにそれを実現するのは難しいでしょう。世界各国から選手や観客を招いておいて、「無事に帰ってもらうことができる」という主張は希望的観測すぎる。国内の感染リスクも大幅に増すでしょう。
選手を完全隔離し、テレビ放映のみの無観客状態で五輪を開催したとして、それが本来の「スポーツの祭典」と言えるでしょうか? 莫大なテレビ放映権という利権にこだわる人たちのアリバイ工作にしか思えません。
そもそも猪瀬直樹さんが五輪を誘致した際は「お金のかからない五輪にする」「東京都の手持ち資金で全部できる」という話だったはず。ところが手持ち資金はコロナ対策で小池百合子・都知事が使ってしまった。最近の発表では、さらに都が1000億円以上の追加費用を負担する必要があるというから驚きました。
日本が世界に示すべきは、五輪開催を諦めてでもそのお金を使ってコロナから身を守ってみせるという姿勢だと思います。