1991年10月13日に読売新聞朝刊、翌10月14日に朝日新聞朝刊に全面広告が載り、狂騒の幕が切って落とされた。
この4年前に初代リハウスガールに選ばれて以来、透明感のある美少女ぶりで人気絶頂にあったトップアイドルの宮沢りえがヌード写真集『Santa Fe』を出し、しかもヘアが写っているというのだ。そして撮影はあの篠山紀信氏。
版元や書店に予約が殺到し、発売日の11月13日には書店に人が押し寄せ、その様子を民放はもちろんNHKまでが報じた。中学校や高校でも学校中の話題を独占。買えた者はヒーローになれた。
買い求めたのは若者だけではない。書店には「何とか手に入れたい」という学校の教師や、「美容院に置きたい」という経営者からも予約の電話がきた。
大阪のパチンコ屋には実際に景品として写真集が置かれ、衆議院内の書店でも40部、警視庁内の書店でも20部の予約が入ったが、警視庁内の書店では批判を恐れてか、すべてのヌード写真集が撤去されたと新聞が報じた。
狂騒は海外にも伝わり、韓国では「日本人はヌード狂」と報じられ、イギリスの高級紙タイムズの日曜版では「日本の検閲制度が大揺れ」と各国に伝えられた。
狂騒がもたらした発行部数は165万部。これは写真集としていまだに破られていない世界記録である。
※週刊ポスト2021年1月1・8日号