少子高齢化や都市部への人口集中などにより、年々深刻な問題となっているのが「空き家」だ。東京でさえも10軒に1軒以上が空き家となっている現状だが、放置すればするほど所有者は大きなリスクを抱え込むことになる。不動産コンサルタントの長嶋修氏が、手遅れにならない前に考えたい「空き家の処分法」についてアドバイスする。
* * *
「空き家を抱えているが、どう処分したらよいか」
「実家が将来空き家になった場合、どうしたらよいか」
筆者の元には空き家の処分について連日多数の相談が寄せられており、「空き家問題」は今や大きな社会的課題なのだと改めて認識させられます。
これから本格的な人口減少が続く日本で、空き家が今後も大幅に増加し続けるのは既定路線です。総務省の「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は2018年時点で846万戸、空き家率は13.6%と過去最高を更新しました。さらに12年後の2033年には空き家数が2000万戸を超えるといった民間シンクタンクの予測も出ています。
こうした事態を受け、2015年5月には「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」が全面施行されました。これにより、空き家を放置しておくと所有者責任を問われる可能性が出てきました。
防犯、景観、衛生などの観点から、周囲に対して危険や害があると判断されると「特定空き家」に認定され、固定資産税の軽減措置は見直され、増税されます。また。立ち入り調査や修繕、撤去命令のほか、最終的には行政代執行で建物を解体され、解体費用は所有者に請求されることになるのです。
ひとたび「特定空き家」に認定されたら大変です。固定資産税は6倍に跳ね上がるうえ、屋根や外壁が落ちる、害虫や犯罪の温床になるなどして周囲に迷惑をかけるどころか、歩行者にケガをさせるなどの懸念も。