コロナ禍でステイホームが呼びかけられている年末年始、改めて家族のこと、将来のこと、そして中高齢者は終活のことを考える機会も増えるだろう。『週刊ポスト』(2020年12月21日発売号)では、「親子で夫婦で兄弟で年末年始に決めておく50のこと」と題し、こんな時代に幸せに暮らしていくための知識と知恵を特集している。そのなかで「夫婦で決めておくこと」についてインタビューに応じたのがタレントの錦野旦氏(72)。自身が65歳になったのを機に、妻でファッションアドバイザーの力丸ヒロ子氏とともに、生命保険や印鑑、通帳などのありかや内容を共有するためのファイルを作成したことを明らかにした。
本誌では収録できなかったが、取材には力丸氏も一緒に答えている。力丸氏は客室乗務員(CA)を経てファッションアドバイザーとなり、最近では錦野氏とともにロト・ナンバーズで高額当選を続出させたことが話題となっている。夫妻が“終活ファイル”を作成したのは、力丸氏の母が2010年に亡くなったことがきっかけだったという。力丸氏に、妻の立場から見た終活を聞いた。
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母は、くも膜下出血で突然亡くなりました。弟が面倒を見ていたのですが、亡くなってみると、どこに何があるかもわからない。前の日まで書いていた日記もそのままで、そこには体調の悪い日のことも書かれていて、一人で闘っていたのかなと読みふけりました。ふと横を見ると、薄いファイルがありました。開くと、「葬式用の通帳はここ」「孫のためのお金はこれ」などと書いてある。89歳でしたが、病院で介護を受けていたわけでもなく、突然死です。遺された家族が困らないように、“子供孝行”な死に方を考えてくれていたのです。
遺言状も金庫に入っていました。きょうだい3人で開けて、財産や所持品なども把握することができました。のちに「あのファイルがなかったら大変だったろうね」「これって、やっておくべきだね」という話になりました。弟は同居していましたが、母から「あそこの通帳を取って」と言われても、「あそこってどこね?」という具合でした。一緒に住んでいてもそうなのですから、孤独死するようなことがあれば、親族はいったいどうやって故人のことを知ればいいのか途方に暮れるでしょう。