スポーツ

【箱根名勝負】渡辺康幸が明かす「マヤカとの2区対決」秘話

箱根の歴史に名を刻む渡辺氏の力走(共同)

箱根の歴史に名を刻む渡辺氏の力走(共同)

 箱根駅伝の最長区間(23・1km)である「花の2区」には毎年、各校のエースが集い、熱戦が繰り広げられる。12月29日の区間エントリーでは、東京国際大のムセンビ、国士館大のR・ヴィンセントらケニア人留学生ランナー、東海大の名取燎太、駒澤大の田澤廉らチームの主力である日本人選手が配置された。歴代大会でも2区では順天堂大・本川一美と山梨学院大・オツオリ(1992年)、東洋大・服部勇馬と山梨学院大・ニャイロ(2016年)など数々のライバル対決があり、視聴者は固唾を呑んで見守ってきた。とりわけ記憶に残るのが早稲田大の渡辺康幸と山梨学院大のステファン・マヤカの名勝負だろう。

 ともに1993年に入学した2人は、1年生から揃ってエース区間の2区に抜擢される。現在は住友電工陸上競技部監督を務める渡辺が振り返る。

「マヤカ選手とは、私が市立船橋高、彼が山梨学院大付属高の時代からライバル関係だったので、常に意識する存在でした。マヤカ選手がいたことが、自分のモチベーションを高めることにつながったと思っています」

 1993年の箱根では、1年生ながらマヤカが区間賞を獲得し、渡辺は22秒差の区間2位となった。ただ、チーム順位では渡辺がトップを譲らずに3区へと襷をつなぎ、早稲田大は総合優勝に輝いた(山梨学院大は総合2位)。

 翌年、マヤカは2年連続の2区に起用される一方、渡辺は1区に回る。

「この年の私のノルマは区間トップで襷をつなぐだけでなく、できる限り後続を引き離すことでした。もちろん、山梨学院大の2区にマヤカ選手が控えていたからです」(渡辺)

 重圧がかかるなか、渡辺は区間賞の走りを見せる。ただ、2位の山梨学院大との差は27秒。続く2区でマヤカが区間記録タイ(1時間7分34秒)の快走を見せ、早稲田大の花田勝彦を抜き去ると、勢いそのままに山梨学院大が総合優勝を果たした。早稲田大は総合2位に終わり、前年とは立場が逆転したのである。

 雪辱を期す早稲田大のエースとして翌1995年の箱根で渡辺は再び2区に挑む。もちろん、マヤカもエース区間に配置され、箱根路では2度目の直接対決となった。1区では社会人を経て大学入りした山梨学院大の中村祐二が快走し、トップでマヤカに襷をつなぐ。一方の早稲田大は9位と出遅れ、渡辺が約2分の差を追いかける展開となった。

「後半に上りが続く2区はスタミナの使い方が難しい。1年生のときは無我夢中で走るだけでしたが、2回目以降はペース配分がわかってきました。プレッシャーもありましたが、絶対に区間賞を獲るという思いで追いかけました」(渡辺)

 前を走るマヤカは従来の区間記録を上回るタイム(1時間7分20秒)の好走を見せるが、渡辺の記録はそれを凌いだ。史上初の1時間6分台となる区間新記録(1時間6分48秒)を打ち立てたのだ。

関連記事

トピックス

ホームランを放ち50-50を達成した大谷翔平(写真/AP/AFLO)
大谷翔平の“胃袋伝説”「高校時代のノルマは“ご飯どんぶり13杯”」「ラーメン店でラーメン食べず」「WBCでは“ゆでたまご16個”」 
女性セブン
3度目の逮捕となった羽賀研二
《芸能人とヤクザの黒い交際》「沖縄のドン」から追放された羽賀研二容疑者と弘道会幹部の20年の蜜月 「幹部から4億円を借りていた」
NEWSポストセブン
寄木細工のイヤリングと髪留めが「佳子さま売れ」に(時事通信フォト)
佳子さまのイヤリングが「おしゃれ!」でまたも注文殺到 訪問先の特産品着用され想起される美智子さまの心配り
NEWSポストセブン
自民党の新総裁選に選出された石破茂氏(Xより)
《石破茂首相が爆誕へ》苦しい下積み時代にアイドルから学んだこと「自分の意見に興味を持ってもらえるきっかけになる」
NEWSポストセブン
内村光良のデビュー当時を知る共演者が振り返る
【『内村プロデュース』が19年ぶり復活】内村光良の「静かな革命」 デビュー当時を知る共演者が明かしたコント王の原点
週刊ポスト
仮設住宅も浸水した(写真/時事通信)
「被災地はゴミ捨て場じゃない」という訴えはなぜ届かないのか
NEWSポストセブン
歌手・タレントの堀ちえみ(左)と俳優の風間杜夫(右)
【対談・風間杜夫×堀ちえみ】人気絶頂期に撮影された名作『スチュワーデス物語』の裏側「相手が16才の女の子だろうと気を抜けないと思った」 
女性セブン
エミー賞を受賞した真田広之(写真/Reuters/AFLO)
エミー賞受賞の真田広之、中村勘三郎さんとの知られざる親交 深夜まで酒を酌み交わし芝居談義、遺影の前で孫にチャンバラを手ほどきしたことも 
女性セブン
石破茂氏の美人妻(撮影/浅野剛)
《新総裁》石破茂氏が一目惚れした美人妻が語っていた「夫婦のなれ初め」最初のプロポーズは断った
NEWSポストセブン
若林豪さんにインタビュー
『旅サラダ』卒業の神田正輝が盟友・若林豪に明かしていた「体調」「パートナー女性」「沙也加さんへの想い」《サスペンスドラマ『赤い霊柩車』で共演30年》
NEWSポストセブン
テレ東アナに中途入社した
【異例の中途採用】大手証券会社からテレ東アナに! 嶺百花「ナンバーワンお天気お姉さん」が回り道して夢を叶える
NEWSポストセブン
3年前に出所したばかりだった
《呼び名はチビちゃん》羽賀研二とそろって逮捕された16歳年下元妻の正体、メロメロで交際0日婚「会えていません」の嘘
NEWSポストセブン