年に1度が当たり前だった健康診断も、新型コロナウイルス感染拡大で変化が起きている。日本総合健診医学会などが全国180の健診センターや病院を調査したところ、2020年1月から9月までの健康診断受診者数は約1400万人で、前年同期から30%以上も減少した。
健康診断だけではない。この冬の第3波の襲来により、病の早期発見につながる各種検査の減少傾向もしばらく続くと予想される。
病院での検査の中でも関連するものが多い「がん」だが、必ずしも毎年受けなくてもよい検査はある。たとえば男性の罹患者数第3位の大腸がんを調べる、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)もそうだ。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師(内科専門医)が指摘する。
「40歳を超えたら必須の検査ですが、異常がなければ5年に1度程度受ければ大丈夫です。一方、大腸カメラは一度に2リットルほどの腸管洗浄液(下剤)を飲むため体への負担が大きく、年齢を重ねるにつれ下剤で腸管破裂するリスクも高まる。80歳を過ぎたら、無理な検査は控えることも選択肢になります」
検査を受けるタイミングにも注意したい。住吉内科消化器内科クリニックの倉持章医師がいう。
「大腸カメラは下剤を飲むなどで待機時間や検査時間が長くなり、胃カメラも麻酔などで所要時間が2時間以上かかります。いずれも病院内に長くとどまることで感染リスクが生じるため、コロナが終息するまでは検査を控えるのがベターです」
※週刊ポスト2021年1月1・8日号