樋口可南子が扉を開き、宮沢りえが社会に普及させたと言われるヘアヌード写真集。樋口可南子の『water fruit』が発売された1991年から、30年を迎える。その間、数多の大物女優たちがカメラの前で裸体を晒し、大衆やメディアはそのたびに狂喜乱舞し、写真集は飛ぶように売れた。まさに日本社会を動かし、形づくってきた衝撃の問題作を、時代とともに振り返る。
●『小柳ルミ子写真集』(撮影/立木義浩、集英社、1991年)
1991年7月に芸能生活20周年を記念した写真集の発売予定だったが、発売前から「ヘアが写っている写真がある」と噂されていた。樋口可南子に続く大物のヘアの噂は過熱し、論争に巻き込まれることを避けるように、出版社は発売を延期。のちに発売されたが、噂とはまったく異なる内容だった。ヘアで一喜一憂した騒動となった。
●荻野目慶子『SURRENDER』(撮影/写楽、講談社、1992年)
荻野目慶子は14歳のとき舞台『奇跡の人』のヘレン・ケラー役でデビューし、映画、ドラマでも活躍する若手女優に成長した時にヘアヌードになった。撮影者の謎の「写楽」を巡って騒然となり、かつての不倫相手だったことが週刊誌報道で明らかになった。後には出演映画の監督深作欣二氏とも不倫関係になり、「魔性の女」と呼ばれた。
●高岡早紀『one,two,three』(撮影/篠山紀信、ぶんか社、1995年)
清純派イメージだったが、22歳になる直前に公開された映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』で初ヌード、直後に発売されたこの写真集ではヘアヌードを披露した。「可愛らしい顔立ちと裏腹の重量感タップリのオッパイで、映画の試写会ではあちこちからため息が漏れました。この写真集も期待通り」(映画評論家・秋本鉄次氏)。肉体の存在感で読者を圧倒した。
1994年はヘアヌード写真集がおよそ200冊刊行され、点数的にはピークを迎えたが、1冊ごとの部数は下降。その中でこの写真集は47万部が売れ、久しぶりの大ヒットになった。
※週刊ポスト2021年1月1・8日号