7月の棋聖戦で史上最年少タイトル保持者となり、8月には王位も獲得する快進撃の1年となった藤井聡太二冠(18)。11月には史上最年少(18歳4か月)、最高勝率(8割3分3厘)で公式戦通算200勝(40敗)を達成した。そうしたなかで“天敵”となっているのが豊島将之竜王(30)だ。9月と10月の対局で敗れ、通算成績は0勝6敗。
ただ、新しい年を迎えると、状況が大きく変わるかもしれない。将棋ライターの松本博文氏が解説する。
「藤井二冠は2021年春に高校を卒業し、大学には進学しない予定です。将棋の世界は、勝利を重ねる棋士ほど過密スケジュールになって、最新戦法の研究に割ける時間が作れなくなる。さらに学業との両立が必要だった藤井二冠の負担は相当なものでした。その状況が一変し、今後は豊島竜王などに研究量でも追いつけるのではないでしょうか」
そもそも、渡辺明名人(36)、永瀬拓矢王座(28)、豊島竜王とともに、藤井二冠は棋界の“4強”の一角を担う存在だ。
「すでに棋界トップクラスの実力で、豊島竜王も勝てない相手ではない。2018年には非公式戦ですが、新人王戦特別対局で藤井二冠が勝利したこともある。その年の新人王とタイトル保持者が対戦する企画で、新人に下手な負け方はできないので非公式戦とはいえガチンコ勝負でした。その再現が公式戦で見られる日も遠くないでしょう」(同前)
天敵克服で、さらなる飛躍の年が待っている。
※週刊ポスト2021年1月1・8日号