新型コロナウイルスの感染が拡大し、何かと健康に目が向いたこの2020年は、食に対して気を使う人も増えたはずだ。
では、「長寿の人は肉食を好む」とよく耳にするがそれは真実なのだろうか? 実は、それは肉食に含まれる脂肪やたんぱく質を分解できる消化酵素の分泌量が充分な人の話。神戸大学医学部客員教授の寺尾啓二さんがこう言う。
「日本人は歴史的にも肉を食べてこなかったので消化酵素の量が少なく、体質に合いません。無理に肉を食べると腸内環境が悪化する恐れもあります。とはいえ、矛盾するようですが、肉の含有する三大栄養素の1つであるたんぱく質は、豊富で良質。体に負担をかけないような摂り方でぜひ食べてほしい。
おすすめは消化酵素と食物繊維が豊富なキウイや大根などを一緒に食べること。日本人に足りない消化酵素を補って消化しやすくなり、悪玉の飽和脂肪酸を排泄してくれます」(寺尾さん)
ステーキやしゃぶしゃぶに大根おろしを添えるとおいしいと感じるのは、こういった理由なのかもしれない。
「ただ、現代の日本人には野菜や果物が含有する食物繊維量では充分ではありません。悪玉脂肪酸を効率よく排泄でき、しかも、整腸作用のある食物繊維をサプリメントで積極的に摂る必要があります。具体的には『難消化性αオリゴ糖』などが挙げられます」(寺尾さん)
寺尾さんは、日本人の体質には「コエンザイムQ10」「R-αリポ酸」「L-カルニチン」といった「ヒトケミカル」を含む肉がよいとして「食肉の中でも、運動量の多い馬肉と羊肉が日本人の健康をしっかりと維持するために適した双璧の肉」と推す。
これらの肉は脂肪が少なく筋肉が豊富。エネルギーを作るために働くヒトケミカルは筋肉に多く含まれるため、筋肉が少なく基礎代謝量が少ない日本人の体質を改善できるのだという。
※女性セブン2021年1月8日号