節分には恵方巻きを、受験や就職活動など大事な勝負の前にはとんカツを食べる──。節目節目に縁起を担ぐ日本人にとって、年末年始は験担ぎの“旬”ともいえる。例えば、年越しそばは「そばのように細く長く過ごせるように」という意味を持ち、おせち料理の黒豆には「黒く日焼けするほどマメに、勤勉で健康に暮らせるように」との願いが込められている。
とりわけ「名家・名門」と呼ばれる家では、独自の験担ぎが代々連綿と受け継がれてきた。2021年を素晴らしい1年にするために、そんな験担ぎを参考にしたい。
400年以上の歴史を持つ歌舞伎の世界。元日は公演が休みで、役者たちは一門の新年会や関係者への挨拶まわりで一日を過ごす。
「名門・成田屋の元日はまず朝食前に風呂に入り、身を清めるのが習わしです。市川海老蔵さん(43才)は、風水やパワーストーンには“もう頼らなくなった”と公言していますが、受け継がれた験担ぎは必ず守っているようです」(歌舞伎関係者)
中村芝翫(55才)や橋之助(24才)を擁する成駒屋と、中村勘九郎(39才)や七之助(37才)を擁する中村屋では、大晦日にそば屋『室町砂場』(東京・中央区)でそばを食べるという。
「創業150年余の老舗で、天ざる・天もり発祥の店。大晦日には行列ができる人気店ですが、三田寛子さん(54才)、前田愛さん(37才)らも一緒に、行列に並んでいます」(前出・歌舞伎関係者)
と、ここまではどこの家庭とも変わりなさそうだが、運気が上がりそうなのは“お年玉”の渡し方。
「新年会は東京・神谷町にある芝翫さんのご実家で開かれます。弟子たちにお年玉を渡すとき、着物姿で、手渡しではなく扇の上に載せて渡すのが作法です。実家は稽古場もあり、一門にとって重要な場所ですから『扇の要』のように大切な場所という意味が込められているのかもしれません」(前出・歌舞伎関係者)
片岡愛之助(48才)の年末年始のお作法は“郷に入れば郷に従え”の精神そのものだ。
「京都・大阪・東京各地での活躍を願い、正月三が日に分けて、3種類の雑煮を食べるそうです。京都なら白みそに丸餅、東京なら濃い醤油だしに四角い餅を入れると聞きます」(前出・歌舞伎関係者)
※女性セブン2021年1月8日号