有名人が反社会的行為でつまずいたとき、その回復は一般人よりも難しい側面がある。同じ悩みや問題を共有できる人が見つかりづらいこともあるが、何よりも、悪意を持った誘惑を仕掛けてくる人たちが出現しやすいからだ。2020年9月に大麻取締法違反の罪に問われて逮捕され、12月に判決が出た俳優の伊勢谷友介も、更生の道を歩むにあたっては難しい局面が待ち構えている。ライターの森鷹久氏が、事件の報道に接したある人たちの意外な反応から、有名人の更生の難しさについて考察する。
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懲役1年執行猶予3年(求刑1年)の判決、と聞いて、その罪は重い、もしくは意外に軽い、どちらだと思うだろうか。
この判決は12月22日、大麻を使用目的で所持したとして、大麻取締法違反の罪に問われていた俳優の伊勢谷友介被告(44)に対して東京地裁で下されたものである。この結果に、捜査当局が悔しい思いをしていると説明するのは、大手紙司法担当記者。
「仕事仲間や身内へ迷惑をかけたことについては謝罪をしていますが、大麻の入手先については何も喋らなかった。今回彼を逮捕したのは『組織対策5課』でしたが、肝心の組織については何もわからなかったということです」(大手紙記者)
大麻取締法では、所持については5年以下の懲役、営利目的での所持もしくはその未遂について7年以下の懲役または情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金、と定められている。伊勢谷被告は9月の逮捕時に、一人で使用するには多すぎる乾燥大麻13.17グラムを目黒区の自宅に持っていたというが、使用目的にしては圧倒的に量が多い。こういう場合は、譲渡や販売目的と目されるのが一般的で、当局の追求も厳しくなるもの。担当するのは当然、「組織」犯罪を捜査する部署だ。
大麻に限らず、違法なものを売るビジネスは、入手から販売までのネットワークを持つ反社会的な組織が関与していることが多い。組織を壊さないと治安が保たれないので、逮捕した犯罪の実行者から、それを指示したり指南している人物やネットワークの存在を明らかにしようとする「突き上げ捜査」が行われる。当然、伊勢谷被告にも同様の捜査が行われたはずだが、あくまでも「自分で使うため」という供述を繰り返したと伝えられている。
大麻の入手経路や、それにまつわる交友関係を一切、供述しなかったことを「反省していないのではないか」と危ぶむ人も多いだろう。一方で、伊勢谷被告に勝手にシンパシーを感じ、信用できる人物だと評価している人たちがいる。