新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛の結果、病院へあまり行かなくなったという高齢者も多い。また、「院内感染」を恐れて、受診を控えるという人も多かっただろう。
しかし、コロナが怖いからと病院の受診を控えると、持病が悪化するなど健康を損ねてしまうのでは──と考える人もいるだろう。
もちろん、がんや脳血管疾患など、継続的な治療を要する病気においては定期的に通院することが不可欠だ。だが、とりわけ慢性疾患において、日本では「過剰医療」が指摘される。
11月に健康保険組合連合会(健保連)が公表した「新型コロナウイルス感染症拡大期における受診意識調査」(速報版)によると、通院抑制者のうち69.4%が、緊急事態宣言が解除されたのちも「とくに体調が悪くなったとは感じない」とし、7.3%は「体調が回復した」と回答した。
感染リスクも考えれば、少なからぬ人が“病院に行かないほうが健康でいられる”ということを示唆する数字である。
では、実際に不必要な通院を減らすには、どうすればいいのだろうか。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広氏が勧めるのは、「薬の処方期間を長くしてもらう」ことだ。
「本来、多くの薬は90日間分、処方できます。慢性疾患の症状が安定しているなら、『通院回数を減らしたいので長期処方にしたい』と医師に相談すれば、対応してもらえるはずです。ただし糖尿病や高脂血症については状態が変化しやすく、採血による確認が必要なので、長期処方はお勧めできません」
前出の健保連の調査でも、通院抑制者の19.9%が「普段よりも長い日数分の薬の処方を受けていた」として、薬をたくさんもらうことで通院回数を減らしていた。
処方薬が多い場合も医師に相談したい。
「5種類以上の薬を飲んでいる場合は、医師に相談して減薬を検討してもらうのも手です。また複数の病院にかかっている場合も、例えば整形外科で出る薬を内科でまとめて出してもらえるよう、医師に相談するのがベター。ただし、症状が安定していることが前提です」(上医師)
自己管理を徹底することもカギになる。健保連の調査では、通院抑制者の5.9%が「自身の体調管理により通院する必要性を感じなかった、あるいは頻度を減らしてもよいと感じた」と返答した。