12月15日、政府は75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を現行の「1割負担」から「2割負担」へ引き上げる方針を閣議決定した。単身世帯なら年収200万円以上が対象となり、約370万人が該当する。最短で2022年10月から始まる予定だ。
昨今はコロナ感染を恐れて通院を躊躇う人が増え、「病院に行くこと」で健康を悪化させかねないとの不安が広がっている。そこにきて高齢者の医療費負担増となれば、受診を控える高齢者も増えるだろう。
こうした状況の中、医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広氏が勧めるのは、「かかりつけ医」の有効活用だ。
「近所のクリニックなどにかかりつけ医を持てば、自分の病気や体質などをより深く理解してもらえて安心ですし、クリニックは大病院よりスタッフや患者が少なく、コロナに感染するリスクも軽減される。専門的な検査や治療が必要になればかかりつけ医が大病院への紹介状を書いてくれるので、『紹介状なし』の追加費用を払う必要はありません」
かかりつけ医には、「人脈メリット」もある。
「実は現在、大病院の中には、コロナを隠し持つ患者の受診を怖れて、新規の重病患者を積極的に受け入れていないところがあります。しかしその場合でも、かかりつけ医の医療コネクションがあれば、診療や検査、手術などを受け付けてもらえるケースが多い」(上医師)
コロナ感染リスクと医療費負担激増に備えて、一人ひとりが本当に賢い患者になることを目指さなくてはならない。
※週刊ポスト2021年1月1・8日号