結婚の「分岐点」をレポートするシリーズ。8年ぶりに彼氏ができ、来年、結婚予定だという32歳の女性。仕事と趣味と同期の女子会が生きがいだった美莉さんは、なぜ結婚したくなったのか。コロナで失ったものと得たもを考える。
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◆コロナ禍で8年ぶり彼氏ができた
都内のメーカーで働く美莉(みり)さん・32歳は、新しい年を、恋人の航(こう)さんと迎える予定だ。二人は2021年中に結婚を予定しているという。
美莉さんに恋人ができたのは、8年ぶりのことだった。大学時代に付き合っていた彼氏と、就職して間もなく破局。以来、美莉さんに彼氏はいなかった。そんな美莉さんが、今年、航さんと付き合うことになったのは「コロナで、女ともだちと会わなくなったことが大きい」と話す。コロナ渦のなかで、どのように美莉さんは結婚を前提とした恋人を得たのか。
美莉さんは地方出身の三人きょうだいの末っ子で、兄と姉に可愛がられて育った。見た目はNHKの近江友里恵アナウンサーに似ていて、性格はおっとりマイペース。職場でも友だちの間でも目立つほうではないが、時間をかけて信頼を得て、妹キャラとして可愛がられるタイプだという。それを聞くとモテそうに感じられるが、恋愛体質ではないと自己分析する。
「男性とも、友だちになってしまうほうなんです。色気がないんでしょうね……(笑)。とくに就職して最初の数年は、仕事が大変で楽しくて、彼氏がほしいとは思いませんでした。仕事に余裕が出てくると、今度は趣味に忙しくなったんです。大学時代にやっていたバトミントンを再開して、いくつかのチームに入って楽しくやってましたし、料理とか、英語とか、旅行とか、若いうちにやりたいことがたくさんありました」
好奇心旺盛な美莉さんにとって、結婚は、必ずしも人生に必要なものではなかった。すでに結婚した兄や姉、姪や甥と遊ぶことで家族的な温かさは得られる。充実した仕事、気分転換のできる趣味、そして、もう一つ、美莉さんにとって大事なのが、他愛もない会話で盛り上がる女ともだちの存在だった。
「仲のいい会社の同期6人で、定期的に女子会を開いていました。私以外は東京出身の子ばかりで、私から見るとみんな大人なんですよ。高校時代から男の子と付き合っていたり、お嬢様で服や鞄はハイブランドばかりとか、こういう人生もあるんだなあと新鮮で楽しくて、私にとっては刺激的な存在でした。その仲に入れてもらっているのが嬉しかった」
一年に一回は皆で旅行にも行った。