安倍政権から菅政権に交代して以降、韓国側からの関係改善を求める動きが活発化している。
2020年11月10日に朴智元(パク・チウォン)国家情報院長が首相官邸を訪れたのに続き、同月13日には、日韓議連の金振杓(キム・ジンピョ)会長が訪日した。韓国紙の報道によると、金会長は菅首相に対して「元徴用工問題を東京五輪まで凍結する案」を提示したという。何が狙いなのか。
元徴用工裁判で原告が差し押さえた日本企業の資産は、すでにいつでも売却できる段階に入っているが、今のところその動きはない。『韓国「反日フェイク」の病理』(小学館新書)の著書がある韓国人作家の崔碩栄(チェ・ソギョン)氏はこう分析する。
「現金化できる時期に入ってからも何の動きがないのは、躊躇しているからだと思います。下手に現金化した場合の日本からの経済的な報復を恐れているのでしょう。
しかし、資産売却を『東京五輪まで凍結する』という韓国側の申し出は、五輪を人質に取ったかのような物言いで、元徴用工問題に紐づけて五輪の話をするのは五輪の政治利用に他ならず、違和感を覚えます」
その見返りとして韓国は何を求めているのか。
「朴智元・国情院長は菅首相に対し、北朝鮮を東京五輪に参加させて、大会期間に日米南北4者会談を開くことを提案したと報じられています。つまり、米国のバイデン次期大統領と金正恩を会わせて関係を取りもつことで、北の信頼を得ると同時に支持率回復を狙っている。
和解ムードを演出したいのでしょうが、それは北朝鮮が正式に文大統領に依頼したことでしょうか。自身に都合良く北朝鮮を利用しているようにも見えます」(崔氏)