CMソングとしてヒットした奥田民生の歌に従えば、クルマはあくまで快適に暮らす道具であり、クルマに乗らないといけないということはない。しかし、奥田が言わんとするのは、それでもクルマが好き、という「男の子のワクワク」だ。『週刊ポスト』(2021年1月4日発売号)では、国民の意見が二分される22のテーマについて、各界の論客が賛成・反対に分かれて興味深い激論を交わしている。そのうちのひとつ、「自動運転車に乗るか、乗らないか」というテーマでは、芸能界随一のクルマ好きとして知られる俳優の岩城滉一が、「乗らない派」の意見を述べている。
岩城は俳優デビュー前にはバイクチームの幹部を務めたほどのバイク好きで、30歳でクルマの免許を取得してからは、四輪でもレーサーとして活躍、国内最高峰のF3000に参戦したこともある。現在はバイクチームを主催し、レースに参戦を続けている。そんな岩城に、自動運転の是非にとどまらない「クルマ愛」について語ってもらった。
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もともと僕は二輪好きだったからクルマには興味がなかったんだよ。それが子供ができて病院に連れていったりするようになるとクルマが必要じゃない? それで30歳で免許を取って、乗るなら「モーリス ミニクーパーS」以外考えなかった。あんなに小さくて可愛らしいのに、レースやラリーで勇名を馳せて活躍していたし、子供も乗ってて楽しいんじゃないかと思ったからね。
ミニの良さは、なんといってもいじりがいがあるところ。クルマって、自分がより乗りやすくなるようにいじる楽しさってあるんだよ。だから、最近のクルマみたいに、いじりがいのないものは興味がない。
これまで100台近くのクルマを所有してきたけど、クルマごとに乗せる女性は一人だけなんだよ(笑い)。自分が愛してるクルマの価値がわかる女性じゃなきゃ乗せない。初めて女性を乗せる時に、その子がなんていうかで、ああ価値観が同じだな、共有できるなって感じるところ、あるじゃない? 今では僕のローバーミニにはママしか乗せないし、スーパーに買い物に行くだけでも二人だけの空間になる。クルマって、自分にとって足でもあるんだけど、やっぱり好きな空間でもあるんだよね。電気自動車だ、自動運転車だというのは、本人さえ居心地の良いものならどんな足でもいいわけだけど、僕にとっては、そういう足には興味がないということ。