新型コロナウイルスが世界的に大流行したことで、東京五輪は1年延期となった。大会が延期になっただけでなく、人との接触を減らさねばならなくなったため、トレーニングも思うように出来ない日々も続いた。だが、コロナ禍における自粛期間が、アスリートの“進化”を促すこともある。
東京五輪で初めて実施される空手の「形」で出場が内定している清水希容(27)は、自宅の稽古場で、遠方にいるコーチにリモート指導を受けながら研鑽を積んだ。
「自分を見つめ直すきっかけになったし、空いている時間が増えた分、陸上の飯塚翔太選手(29、リオ五輪男子4×100mリレー銀メダリスト)や、女子ラグビー、フェンシングの選手たちとリモートで自粛期間中のトレーニングなどについて、意見交換できました」
オリンピアン同士の交流が新たな刺激を生むというのだ。
コロナでスポーツイベントが停滞するなか、陸上界では男女ふたりの長距離ランナーが驚愕の自己ベスト更新を果たした。
2014年の引退、OL転身(13kgの体重増)を経て、2018年に現役復帰し、見事なカムバックを果たしたのが新谷仁美(32)。12月の日本選手権女子1万mで、渋井陽子が保持していた日本記録を28秒以上も更新する30分20秒44で優勝した。
また東洋大4年だった2020年1月の箱根駅伝ではエース区間の2区で、区間記録を大幅に更新した相澤晃(23)も大躍進をみせる。12月の日本選手権1万mで27分18秒75という日本記録を樹立、代表に内定した。