昨年12月の全米女子オープンでは4位の渋野日向子(AFP=時事)

昨年12月の全米女子オープンでは4位の渋野日向子(写真/AFP=時事)

 コロナ禍の2020年に、苦しんだアスリートといえば女子ゴルフの渋野日向子(22)だ。2019年に全英女子オープンを制し、スマイリング・シンデレラと呼ばれた渋野は、オフに肉体改造に加え、アプローチを中心とするショットのバリエーションを増やすことに力を注いだ。

 ところが、約4か月遅れで開幕した2020年の国内開幕戦は予選落ち。イギリス・アメリカ遠征でも上位で戦えず、五輪の出場権を左右する世界ランキングでは国内3勝を挙げた古江彩佳(20)に抜かれ日本人3位に後退。

 しかし、12月の全米女子オープンでは最終日を単独首位で迎えるバウンスバック(立ち直り)をみせた。最終順位こそ4位となったが、パターが復調し、それがショットの不安を打ち消した。ランキングは再び五輪出場圏内へ戻ってきた。しかし、現在は五輪よりも、米ツアー参戦への思いが強い。

「もちろん(五輪を)開催してほしいですが、米ツアーに参戦する目標の過程に五輪があるという感じで考えています」

 アスリートにとって、1年365日はあまりに長い時間だ。だからこそ東京五輪の延期は、アスリートを天国と地獄に分かつのである。

レポート/柳川悠二(ノンフィクションライター)と週刊ポスト取材班

※週刊ポスト2021年1月15・22日号

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