コロナ対策で金融緩和が続く中、日経平均がバブル崩壊後の新高値を更新している。このコロナ・バブルはどこまで続くのか。経済アナリストの森永卓郎氏が読み解く。
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日米ともに現在の株価は異常に高い水準だ。株価は「半年先の景気の先行きを映し出す鏡」と言われるが、私は半年先に景気が回復するとは到底思えない。
2021年には新型コロナのワクチン普及で景気回復するとの楽観論もあるが、非現実的だ。日本で一般国民にワクチン接種が始まるのは、おそらく米ファイザー社の納期となる6月末。有効性も副反応も十分に検証されないまま短期間で承認されそうなのも気がかりであり、実際にどれだけの人が接種を受けるか疑問だ。
バイデン新大統領の政策も経済低迷の一因になりそうだ。富裕層への増税などで景気回復に水を差す公算が大きい。
景気後退が予見される以上、今の株高はバブルとしか言いようがない。“すぐには弾けない”と捉える向きもあるようだが、そうは思えない。
ノーベル経済学賞受賞者で、イェール大学教授のロバート・シラー博士が考案したシラーPER(株価収益率=株価の割高感を示す指標)を見ても、割高とされる25倍を超える状態が続いている。
ITバブルの時は25倍超えが79か月、リーマンショック前は52か月継続したところでバブルが崩壊して暴落がやってきた。米国市場では現在、この25倍超えが78か月も続いている状況である(2020年11月末時点)。つまり、2021年はいつバブルが弾けても不思議ではない。日経平均株価も「2万円割れ」どころか、現在の半分以下の水準まで急落する可能性すらあるだろう。
※週刊ポスト2021年1月15・22日号