透き通る青色が美しい琵琶湖をはじめとする雄大な「自然」、戦国時代の空気を今に伝える安土城や国宝・彦根城をはじめとする「歴史」、そして近江牛に代表される「グルメ」──これまでも滋賀県は魅力あふれる観光エリアとして知られてきたが、“ニューノーマル”が定着した今、新たな視点で滋賀が注目されている。
旅行ジャーナリストの村田和子氏が語る。
「滋賀の魅力は、多様性があって、自然と人が互いに溶け込むような形で発展してきたという点にあります。
例えば自然に関しては、湖水浴やサイクリングも楽しめる琵琶湖から、パラグライダーも楽しめる湖北エリアの山々まで、バラエティに富んでいます。古代や戦国時代などで重要な役割を果たしたという、歴史的な魅力にも溢れています。
そうした多様性ある魅力が、人々が長い時間をかけて造り上げてきた落ち着いた町並みとともに、そして雄大な琵琶湖とともに共存しているのが滋賀の良さだと言えます」
コロナ禍の中で、人々の旅行スタイルも変化しつつある。混雑したエリアを避け、密になりすぎない場所でのんびりとココロとカラダを整えるスタイルを求める人が増えつつあるのだ。
だからこそ、長い歴史の中で自然と人がバランスよく発展してきた滋賀が“ニューツリーズム”の中で注目されているのだろう。
そんな、ゆっくり丁寧に作り上げられた「ちょうどいいリズム」を味わってほしいと、滋賀県の観光情報を発信する滋賀県・びわこビジターズビューローが打ち出したのが「シガリズム」というコンセプトだ。心を癒す“ニューツーリズム”を求める人には、一度はチェックしてほしい。
「コロナ禍で人々の心は疲弊していますが、旅行は、旅先で様々な感動や癒しなどを経験できるだけでなく、旅の経験がその後の“日常”を明るく過ごせるようにしてくれるはずです。滋賀の自然や人々のリズムを体験することは、コロナでダメージを受けた日常を癒してくれると思います」(前出・村田氏)
天空のテラス、グランピング、水郷めぐり…
「シガリズム」では、滋賀県を7つのエリア(大津、高島、湖北、湖東、東近江、甲賀、湖南)に分けて紹介している。それぞれ、滋賀独特の自然や人の営み、時間軸などを感じられる要素を持っている。各エリアの代表的なスポットを紹介しよう。
■大津エリア【びわ湖テラス】
地上約1100m、琵琶湖にせり出すような天空のテラスで心地良さを体感できるのが「びわ湖テラス」だ。打見山と蓬莱山の山頂に広がるテラスは「まさに琵琶湖の圧倒的なスケール感を体感できるスポットです」(前出・村田氏)という。時間を忘れられるシガリズムなスポットと言える。レストラン「Dining Lake View」では近江牛ローストビーフ丼も楽しめる。
【住所】滋賀県大津市木戸1547-1
【営業時間】営業施設・時間は時期により異なる。公式ホームページをご確認ください。
【定休日】四季ごとに休業期間あり。公式ホームページをご確認ください。
【料金】公式ホームページをご確認ください。
【URL】https://www.biwako-valley.com/tips/biwako_terrace_winter/index.html
■高島エリア【マキノ高原】
琵琶湖に浮かぶ鳥居で有名な白鬚神社などで知られる、琵琶湖の北西部に広がる高島エリア──。ここで注目なのは、メタセコイア並木が出迎えてくれる「マキノ高原」。ソロキャンプの人気スポットとなっている。隣接する温泉施設「マキノ高原温泉さらさ」でのんびりしつつ、密を避けてキャンプをすれば、日常の疲れも吹き飛びそうだ。冬はスノーキャンプも楽しめる。
【住所】滋賀県高島市マキノ町牧野931番地
【営業期間・時間】チェックイン/12:00~16:00、チェックアウト/12:00。デイキャンプ(日帰り利用)/9:00~16:00 ※繁忙時は、チェックインタイム変更あり
【定休日】第2・4水曜日(12月~2月は毎週水曜日)。ただし、夏休み・スキー場営業時は無休。その他臨時休業あり
【料金】オートキャンプ/4500円~(1泊入場料込。高原サイト)。デイキャンプ/1000円~、別途入場料(中学生以下200円、高校生以上300円。20名まで。高原・林間サイト)
【URL】http://makinokougen.co.jp/publics/index/218/
■湖北エリア【GLAMP ELEMENT】
長浜市や米原市を擁し、琵琶湖の北東部に広がる湖北エリア。ここでは、近年のグランピングブームに伴い、グランピング施設「GLAMP ELEMENT」が注目を集めている。テントタイプのほかウッド調のキャビンタイプの宿泊施設も用意しており、飲食施設からカヌーなどのアクティビティまで幅広いサービスを用意しているのも特徴だ。
【住所】滋賀県米原市池下60番地1
【営業時間・定休日】施設、サービスごとに異なる。公式ホームページをご確認ください。
【料金】2万1450円~(1名あたり/サービス料込み・消費税別)。公式ホームページをご確認ください。
【URL】https://www.glamp-element.jp/
■湖東エリア【河内風穴】
国宝・彦根城で知られる湖東エリアにあるのは、巨大な鍾乳洞「河内風穴」(かわちのかざあな)だ。年間を通して12~13度という温度の鍾乳洞の中、手すりを頼りに進む。総面積1544平方メートルと広く関西でも有数の鍾乳洞で、地底のロマンを楽しめる。
【住所】滋賀県多賀町河内宮前
【営業時間】9:00~17:00(受付は16:00まで)/夏期 9:00~18:00(受付は17:00まで)
【定休日】大雨・積雪時
【料金】大人/500円、小人(5歳~小学生)/300円(団体30名以上で各100円割引あり)。駐車料金/2時間400円。
【URL】https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1667
■東近江エリア【近江八幡和船観光協同組合(水郷めぐり)】
織田信長が建設した安土城城址が鎮座する東近江エリアで注目なのは、近江八幡の水郷めぐりだ。琵琶湖八景にも数えられヨシが群生する水郷を船でのんびりとめぐる。ヨシの芽吹きをよくするために3月上旬頃に行われる「ヨシ焼き」はこの地域の早春の風物詩だ。
【住所】滋賀県近江八幡市北之庄町880
【営業時間】
●乗合船/出航時間10:00~、15:00~(1日2回。※繁忙期は臨時便あり。TELにてご確認ください)。
●貸切船/予約時間に合わせて出航。
【定休日】●乗合船/4月1日~11月30日は毎日運行。●貸切船/年中無休(※現在運休中。3月より予約開始)。
【料金】●乗合船/大人2200円、小人1100円(税込み。所要時間約80分のコース)。●貸切船/1隻貸切料金=6人定員船 8380円~1万1300円(税込み)。8人定員船1万0480円~1万4670円(税込み)。
・所要時間約60分~120分の各コースあり。ペット同伴可。
【URL】http://www.suigou-meguri.com/
■甲賀エリア【信楽焼と登り窯】
数々の「忍者伝説」が残る里として知られる甲賀エリアは、瀬戸や備前と並び日本六古窯の一つに数えられる信楽焼の生産地。熱がだんだん上がっていくことを利用して陶器を焼く「登り窯」が随所に残っているのも、この地の特徴だ。内部が自由に見学できる登り窯を有する体験施設「Ogama」は、信楽の窯元ならではの作陶体験ができる。また、併設されたカフェでは信楽焼の陶器でコーヒーなどを楽しむことができる。
【住所】滋賀県甲賀市信楽町長野947
【営業時間】10:00~16:30(LO16:00)
【定休日】水・木(祝祭日の場合は営業)
【料金】作陶体験2000円~。公式ホームページをご確認ください。
【URL】http://www.meizan.info/ogama
■湖南エリア【BIWAKO DAUGHTERS】
琵琶湖博物館などで知られる湖南エリアは、古くから伝わる漁業の地盤がある。そんな地で、琵琶湖の恵みを生かした伝統の発酵食品・鮒ずしや佃煮などのアレンジ商品の開発や、伝統漁の体験を行っているのが、BIWAKO DAUGHTERSだ。運営するのは代々漁師を続ける一家の祖母、母、娘の3人。えり漁(定置網)、刺網(さしあみ)漁、しじみ漁など、琵琶湖ならではの漁の体験ができる。
【住所】滋賀県野洲市菖蒲230
【営業期間・時間】10:00~18:00
【定休日】水曜日
【料金】感無漁(漁体験)/基本料金 大人2200円、小人1650円(税込み)。漁の内容・漁場により基本価格が変動する場合があるため、詳しくは予約時にご確認ください。
【URL】http://www.biwakodaughters.jp/
これらの7スポットに限らず、滋賀にはココロとカラダのリズムが整えられるスポットが数多くある。詳しくはシガリズムを要チェックだ。