現役最多のGI38勝(中央、地方、海外)を誇る角居勝彦調教師は、家業である天理教の仕事に就くため2021年2月で引退、角居厩舎は解散となる。調教師生活20年、厩務員として栗東トレセンに来てから34年、北海道のグランド牧場で初めて馬に触れてから40年。角居師は自身のホースマン人生の集大成として『さらば愛しき競馬』を上梓した。角居師によるカウントダウンコラム(全13回)、今回は競馬場のレイアウトと競走馬の走り方について解説する。
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京都競馬場の改装に伴い、今年は中京競馬場でのレースが多くなります。年初めの「京都金杯」も中京でしたし、今週の日経新春杯や3歳重賞のきさらぎ賞なども中京で行なわれることになります。
かつての中京競馬場は小回りで平坦、直線も短い典型的なローカル競馬場でしたが、2012年にリニューアルされてからは、まったくイメージが変わりました。芝コースの1周距離(Aコース)は1705.9mで、これは阪神競馬場や中山競馬場の内回りより長く、直線412mは中山や阪神内回りはもちろん、京都の外回りより長いのです。高低差3.5mも東京競馬場を上回っており、幅員も引けを取りません。
角居厩舎ではディアデラノビアが改修前の2007年に、その娘ディアデラマドレが改修後の2014年に愛知杯を勝っている他、サンビスタが2015年のチャンピオンズカップを12番人気で勝っています。また2020年サートゥルナーリアの金鯱賞がいまのところ最後の重賞勝ちです。なかなか思い出深い競馬場なのです。
栗東トレセンからは2時間かからないし、使い勝手も悪くないのですが、やはり京都の方が近くてホームグラウンド感がある。なにより中京は、東京から見れば京都より近いわけで、関東馬が遠征してくることが多くなるでしょう。そうなると出走ラッシュになって使いにくくなります。関西勢にとって京都から中京に替わったメリットはありません。
しかも中京は左回りの競馬場です。
関西の主戦場である京都と阪神はともに右回りですが、東京や夏の新潟は左回り。得意不得意ということではなく、関東馬が左回りに慣れていることは確かです。さらに関東馬でもコーナーのきつい中山よりは、広くて左回りの東京を得意とする有力馬がいます。そうした馬が、2月の東京開催を待たずに中京で、ということがあるわけです。馬券検討の際、競馬場別の成績はチェックしておいた方がいいでしょう。