〈事務所に謝罪などこれからも対応が続く〉
〈オンエア前のバタバタでニュースセンター長の耳に入っていなかった〉
〈安倍事務所のリアクションを取りに行っていなかった〉
これは1月初旬、テレビ朝日の報道局員に送られたメールである。そこには、「安倍前首相聴取の誤報」に関する社内の調査報告が記されていた。
昨年12月18日、テレ朝は昼のニュースで、安倍前首相が「桜を見る会」前夜の夕食会で費用を補填していた問題について「東京地検特捜部の事情聴取に応じていた」と報じた。しかし、その時点で聴取の事実はなし。同日夜の『報道ステーション』で富川悠太アナが謝罪する事態となった。安倍氏への聴取が実際に行なわれたのは、その4日後の22日のことだった。テレ朝関係者が語る。
「これだけスクープ性のある情報が、ニュースセンター長も内容を知らないままオンエアされたというのは異例のこと。社内調査では当事者への裏取り取材をしていなかったことも判明した。
この調査報告メールは政治部だけでなく他部署にも共有されており、局内でも“杜撰すぎる”と厳しい声が上がっている」
社内調査を受けて、関係局員の処分も決まった。
「報道局のトップである報道局長、その下のニュースセンター長が『譴責』、担当部署の責任者である政治部長は減給1か月の処分でした。ネタを取ってきた記者の処分はなし。組織の問題という認識で、今回の教訓として、部内連携を徹底するよう指導があった」(同前)
テレ朝に聞くと、「事実関係の誤りにつきましては確認が不十分でした。取材の過程などにつきましては回答を控えさせていただきます」(広報部)とのこと。
8日の『報ステ』では、スタジオ出演した菅総理に対する富川アナの質問が“やさしすぎた”ため、「政権に媚びすぎ」とネット上で批判を集めた。
『報ステ』の迷走はまだ続きそうだ。
※週刊ポスト2021年1月29日号