2020年11月11日、菅義偉首相(72才)の口から飛び出した言葉に、日本人女性の多くが呆然としたに違いない。この日は首相官邸で男女共同参画会議が開かれていた。第5次男女共同参画基本計画策定にあたっての答申取りまとめのためだ。答申を受け取った菅首相は言い放った。
「2020年代の可能な限り早い時期に、指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう取り組みを進める必要があります」
小泉政権下の2003年、自民党政権は、「2020年までに『指導的地位』における女性の割合を30%にする」との目標を掲げた。それが結局、どうなったか。企業の管理職に占める女性の割合は、目標設定以来一度も10%を超えておらず、2021年現在もわずか7.8%にとどまっている(TDB景気動向調査2020年7月)。省庁の管理職も、国会議員の女性の割合も、ほぼ横ばい。同じく10%を超えたことがない。ところが菅首相はこうも言った。
「新型コロナウイルスにより、特に女性が厳しい状況にさらされていますが、こうした中にあっても女性活躍の勢いを止めてはなりません。すべての女性が輝ける社会の構築に向けて、各大臣におかれては、方針に沿った計画となるよう、前例にとらわれず柔軟な発想で検討を進めてください」
言葉だけの「やってる感」を演出しているように感じてしまう人は少なくないだろう。具体的な中身はゼロ。やる気もゼロ。「女性が活躍できる社会の実現」において、わが国のトップに立つ人々は、知恵や行動力があるとは到底言えないのではないだろうか。