コロナ禍で移動の自粛が求められた2020年から2021年にかけての年末年始。冬休みに帰省できなかったので、春休みこそ、という人も多いだろう。しかし自粛はまだまだ続けたい。
「宣言が解除されたとしても、それほど流行していない地域間を行き来するならまだしも、都内から、地方へ移動するのはおすすめできません」(坂根Mクリニックの坂根みち子院長)
夏には東京オリンピックが開催の予定だが、その場合は海外からの渡航者が都内にあふれることになる。
「その場合は帰省というよりは、夏休みを利用した“コロナ疎開”が現実味を帯びるかもしれません」(国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さん)
流行を封じ込めるにはワクチンの完成が待たれる。ボストン在住の内科医・大西睦子さんはこう話す。
「ゴールドマン・サックスのエコノミストは2021年5月には日本人の半分が予防接種を受けられると予測しています。秋までには先進国の70%以上の人が予防接種を受けられるという予測もあります。少なくとも、夏までは旅行や帰省をがまんする心づもりが必要になるでしょう」
複数人での移動はどうする?
今年は忍耐が試される春になりそうだが、遠方以外への移動でも気は休まらない。不特定多数が乗り合わせる電車と、限られた人だけが乗車するタクシーを比べると、軍配が上がるのは、意外にも思えるが電車だ。
「スーパーコンピュータ富岳による実験では、ドライバーが咳をした場合、飛沫は10秒以内に車内に拡散することがわかっています。後部座席に座っていても安心はできないのです。
一方、電車の場合、頻繁に駅に停車し、ドアが開閉する場合は、窓を開けているのと同じ程度の換気ができています。走行時間によらず、ドアの開閉が有効であるデータも出ています」(一石さん)
とはいえ、乗車前や乗車中にも充分な注意が必要だ。手すりやつり革に触ったらその後はしっかり手の洗浄や消毒を。電車を待つ間も、周りの人とは2m以上のソーシャルディスタンスを保つことを忘れてはいけない。タクシーに乗る場合は、パーティションがしっかりとしている車に乗るようにしたい。それだけでも、飛沫飛散を防御できるという。
※女性セブン2021年1月28日号