2018年に20年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たしたスズキの小型SUV、ジムニー&ジムニーシエラ。以降、2年半が経過してもなお、1年前後の納車待ち状態が続いているという。果たしてジムニー人気の秘密はどこにあるのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が改めて試乗レポートする。
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2018年7月に発売されて以来、本格ミニクロスカントリー4×4として世界各地で人気を博しているスズキ「ジムニー」の第4世代モデル。軽自動車ベースならではの小型ボディでありながら高い悪路走破性を持つという特性はもともと山岳地帯や深雪地帯での使用にはうってつけ。そういう性能を必要とするユーザーからは大いに支持されていた。
そのジムニーが第4世代にチェンジするや、丸目のヘッドランプ、屋根の淵にレインガーターが付いた角張ったスタイルがメルセデス・ベンツの高級クロスカントリー4×4「ゲレンデヴァーゲン」を想起させるということで一気に人気が高まった。
現在も注文に生産が追い付かない状況が続いており、中古車販売店の店頭では新車価格を大幅に超える価格でジムニーが売られているのを目にすることができる。それだけお金を払ってでも、というユーザーが多数存在するのである。
ジムニーというクルマはもともと快適性や運動性、ファミリーカーとしての広さや利便性は二の次。ただひたすら悪路、深雪路の走破性を追求したクルマである。1時間ほどチョイ乗りしてみた印象では、旧型の第3世代で大きく向上した乗り心地はさらに改善されており、ロードノイズも小さくなった。ハンドルの高さを調整できるチルトステアリング機能が装備されるなど、ドライビングポジションも取りやすくなった。
それでも普通のクロスオーバーSUVとは乗り味も使い勝手もまったく異なる。ハッキリ言って“これ1台”で何でもこなせる全部入りのクルマではない。マスメディア向けの新商品発表会の場でも、初代ジムニーを量産にまで持って行った鈴木修会長が「ジムニーでなければ仕事や生活が成り立たないお客様が世界にいる。そういう人々のために作ったクルマなんですよ」と、過去を振り返りながら語っていた。