新型コロナウイルスの感染拡大により、現在全国の医療機関が逼迫した状況に追い込まれている。だからこそ「風邪かな?」と思った時、とりあえず風邪薬をのむ人もいるだろう、しかし、自己判断での服薬は禁物だ。
「感染当初は、普通の風邪もインフルエンザも、そして新型コロナも簡単には区別がつきません。仮に新型コロナに感染していたとしても、風邪薬で症状だけが緩和されることがあり、気づいた頃には重症化が進んでしまうことが考えられます。実際に海外では、風邪薬によって新型コロナが重症化し、肺水腫を引き起こしたという報告があります」(国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さん)
配合成分にも注意を払いたい。
「解熱鎮痛剤は新型コロナを悪化させうる、との議論もあって医学界に混乱が生じましたが、今では基本的に使用できるとされています。ただ、使う際には、個々の症状の緩和と副作用のリスクのバランスで選ぶべきであり、解熱鎮痛剤の主成分である、イブプロフェンとアセトアミノフェンのどちらを使用するか、主治医に相談してください」(ボストン在住の内科医・大西睦子さん)
突然の発熱や、味覚や嗅覚の異常といった新型コロナ特有の症状が出た場合はもちろんのこと、風邪かなと感じたときにも、まずは医師に相談し、正しい判断を仰ぎたい。
格安PCR検査は受けるべきか?
一方、PCR検査はどうか? 新型コロナに感染しているかどうか検査するために、大行列に並ぶ。そんな皮肉な光景をニュースで見たかたも多いだろう。近頃増えている、全額自己負担ながら2000~3000円で受けられる格安PCR検査だ。アメリカでも“迅速検査”と呼ばれる、同日に結果が出るPCR検査や抗原検査が増えているという。
「受けないよりは、受けた方がよいです。ただし、こうした簡易的なPCR検査は、ゴールドスタンダードと呼ばれるPCR検査に比べて精度が低いので結果は慎重に解釈すべきとされています」(大西さん)
したがって、症状はないものの不安があればまず格安で検査を受け、それから次の段階に進むのがよさそうだ。
「陽性反応が出たら、都道府県の相談センターに連絡を。仮に陰性でも、発熱や咳が続くようであれば、すぐに保険診療で正式な検査を受けてください」(一石さん)
今後、政府による無料のPCR検査の場が広がっていくことも予想される。しかし、待つよりも動くことが大事だ。
※女性セブン2021年1月28日号