韓国人の元慰安婦らが損害賠償を求めて日本政府を訴えた裁判で、ソウル中央地裁が日本政府に対し、慰安婦一人当たり1億ウォン(950万円)、総額12億ウォン(1億1400万円)の賠償を命じた判決。日韓の亀裂はますます深まっている。
国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則を無視する異例の判決となった──。日本政府は「韓国の裁判権に服することは認められない」との立場から控訴はしない方針で、判決は23日に確定する見込みだ。元徴用工裁判と同様、原告が裁判所に対し、日本政府の資産の差し押さえを求めた場合、どうなるか。
日韓問題に詳しい麗澤大学客員教授の西岡力氏が言う。
「過去、在韓米軍基地に勤務していた韓国人が解雇され、それを不当として米政府を相手に裁判を起こしたケースがあります。この時は原告が勝訴し、米大使館が銀行に預金していたビザの手数料が差し押さえられました。こうした前例があるため、日本大使館の資産が差し押さえの対象になる可能性があります。大使館の預金や大使の車などが差し押さえ対象となるかもしれません」
元駐韓大使の武藤正敏氏もこう話す。
「ウィーン条約で外国公館の不可侵が保障されており、公館の資産は対処外であり何もできないはずですが、韓国は何を考えてくるかわからない。一昔前なら、円借款の債務を踏み倒すようなこともやりかねなかったはずです。
裁判所が大使館の資産の差し押さえを認めれば、日本政府は当然、対抗措置をとる。日韓関係は後戻りができないほど悪化するでしょう」