ラグビー日本代表の“不動の司令塔”田村優(32・キヤノンイーグルスSO/CTB)は、所属チームでは主将も務める。コロナ禍で開幕戦の延期が決まった今季トップリーグと、2023年W杯への田村の思いを、『国境を越えたスクラム』(中央公論新社刊)の著者・山川徹氏が聞いた。
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日本代表が目標にしていたベスト8進出を達成できれば、ラグビーを初めて見る人にも魅力を知ってもらえるはず。ぼくはそう思ってました。だから、W杯の熱狂にも驚きはなかったですね。あれくらい盛り上がるとは思っていたんで。
もちろん大歓声に力をもらいましたし、ラグビー人気に貢献できたのも本当にうれしい。ですが、W杯後もぼく自身はなにも変わってません。1人のラグビー選手としてやるべきことをやっただけですから。
準々決勝で対戦した南アフリカは、決勝トーナメントに照準を合わせて準備してきていました。一方、ぼくらは予選プールから全試合、全力で戦ってきた影響で疲労が残っていた。その差が勝敗につながったのかな、と思いますね。
ぼくらは最後の最後まで持てる力のすべてを出し尽くした。その結果なので、仕方がない……そう思えるだけラグビー中心の生活を送ってきたんです。
日本代表には、様々な文化や言語を持つ選手がいた。確かに、当初はコミュニケーションの面で難しい部分もあった。でも、言葉を交わさなくても意思疎通ができるくらい長い時間を一緒に過ごし、練習してきた。だからこそ、試合中、どんな局面でもみんなが同じ方向を向けたのだと思います。
昨年のトップリーグもたくさんのファンの方々に応援してもらいましたが、残念ながらコロナの影響で休止になってしまった。ただ、ぼくらがコントロールできる問題ではありませんよね。ぼく個人としては、精神的にも肉体的にも、リフレッシュしたかったので、自粛期間中はラグビーを忘れてゆっくり過ごしました。そして、トップリーグ開幕が近づき、またラグビーがやりたくなってきました。やっぱりラグビーは、楽しんでやらないと。