1月22日は「カレーの日」。1982年に全国学校栄養士協議会が、給食のメニューを子供たちに愛されていたカレーにすることを決め、全国の小中学校でカレーの給食が出されたことにちなんでいるという。小説『私のカレーを食べてください』で、第2回「日本おいしい小説大賞」を受賞した幸村しゅう氏と、“辛いもの好き”で知られる作家の椎名誠氏が、受賞を記念してカレーへの思いを語り合った。実は2人は、かつて映画の監督と助監督として仕事をしたこともある。椎名氏行きつけの居酒屋『池林坊』(東京・新宿三丁目)で行われた対談は、その時の思い出から始まった──。
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──おふたりは椎名さんが映画を撮っていた現場で、椎名さんが監督、幸村さんが助監督という関係だったんですよね。
幸村「私は5人いる助監督の中でいちばん、下っ端でした。椎名監督はじめ、現場はすごい男社会で……」
椎名「まずその『監督』と呼ぶのをやめなさい」
幸村「え、でもこれまでずっと監督と呼んでいたので、なんとお呼びしたらいいのか……」
椎名「賞の受賞で同業になったんだから『椎名さん』でいいんじゃないの」
幸村「では椎名先生で」
椎名「『先生』もいらない」
幸村「それでは椎名さん。今日はよろしくお願いします」
椎名「ちょうどビールも来たので、幸村さんの受賞を乾杯しよう。おめでとうございます。乾杯」
幸村「ありがとうございます」
──何年ぶりの再会になるんですか?
椎名「どのくらいだろう。20……」
幸村「計算したら26年でした。26年ぶり、モンゴルの草原以来ですね」
椎名「そんなになるのか。しゅうさんはよく走ってたよ。足が長いからさ、疾走ぶりがモンゴルの草原によく似合ってたよ」