現役最多のGI38勝(中央、地方、海外)を誇る角居勝彦調教師は、家業である天理教の仕事に就くため2021年2月で引退、角居厩舎は解散となる。調教師生活20年、厩務員として栗東トレセンに来てから34年、北海道のグランド牧場で初めて馬に触れてから40年。角居師は自身のホースマン人生の集大成として『さらば愛しき競馬』を上梓した。角居師によるカウントダウンコラム(全13回)、今回は競走馬の利き脚について解説する。
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先週、サートゥルナーリアの引退、種牡馬入りが発表されました。昨秋のジャパンカップを前にして故障してしまいましたが、能力の高い馬なので再起できると思っていました。
母親のシーザリオから始まって、エピファネイア、リオンディーズとこの母子は角居厩舎で頑張ってくれました。種牡馬としては兄たちがすでに結果を出しており、ロードカナロアの後継種牡馬としても期待が高いようです。応援ありがとうございました。まさか私と一緒に引退することになるとは考えもしませんでしたが、この血統をさらに広げていってくれることを楽しみにしています。
さて、今年は京都競馬場が改装に入ったため中京競馬場でのスタートでしたが、先週から小倉競馬場での開催もスタートしました。猛暑の夏開催が減るのと引き換えに今冬は8週16日間、2開催続けて行なわれます。
芝コースの1周が1615.1m(Aコース)、直線293m。ダートコースが1445.4m(直線291m)という、福島競馬場と並んで典型的な小回りの競馬場です。今年は残念ながら無観客になってしまいましたが、小倉駅からのアクセスもよく、また美味しい食べ物が多い土地なので、遠くから訪れるファンも多かったようですね。
冬場でも芝のレースが多く、1000m、1700mという独特な距離があるなど、うまく使いたい競馬場です。角居厩舎ではタニノフランケルが、3歳夏に1000万条件(現2勝クラス)特別を勝ち、オープン入りしてからもGⅢ小倉大賞典で2着に入るなど計6回も出走、ウオッカの子にしては小回りコースもこなしてくれました。昨秋にかつて角居厩舎で調教助手だった村山明調教師のところに転厩しましたが、先週もオープン特別に出走しています。
タメの上手くきかない馬、ワンペースの馬、逃げたほうがいい馬など、レースで小回りに合わせた作戦をとれる馬を連れていくことが多いですね。角居厩舎では平地の重賞勝ちこそありませんが、出走回数、勝利数とも中京より多いのです。
2開催もあれば滞在させることも考えましたが、新型コロナの影響で外出にも制限が出ているため、従業員の滞在が厳しい。なので、角居厩舎では拠点は栗東に置いたままレースごとに通うことになりそうです。
右回りの競馬場は、阪神の外回りを除けば、小回りで直線の短いコースが多い。最後のコーナーは右手前で回るわけですが、左利きの馬の場合、直線で左手前に替えてもすぐにトップスピードにならないため、うまく回った器用な馬に届かないことが多い。とくに大跳びの馬では辛いですね。
逆に右手前が苦にならない馬は、4コーナーに入る前に(あるいは入りながら)右手前に替えて、コーナーでの減速を最低限に抑え、直線で早めに加速してそのまま押し切ってしまうことがあります。これがいわゆる「小倉巧者」で、穴党にはおなじみですね。「福島巧者」も同様で、これは利き脚の影響もあると思います。