要介護者を抱える家族と介護スタッフ──本来はタッグを組んで進んでいくべき両者が、複雑な制度、人材不足、親子の情……色々な理由により敵対関係になってしまうことも多い。こういった問題に、家族はどう対処すればいいのか? ケアマネジャーの矢尾眞理子さんが解説する。
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最近は世の中にさまざまな健康や介護の情報があふれています。老親介護に直面したご家族は自身の立場で一生懸命考え、情報収集をしがちですが、一般的な評判や子供の立場からよいと思うことが、必ずしもご本人にとってよいとは限りません。そんな“思い”の違いで介護職と家族の不協和音が生まれることもあるかもしれません。
ケアマネジャーはご本人と家族それぞれをよく見て、どんなケアがよいか、プロならではの情報やアイディアから提案し、大事な選択や決定をする際に寄り添うのが役割です。ケアマネジャーと家族はご本人を中心にしたチーム。ケアマネジャーはご本人や家族がどんな人か、何が幸せかを知りたいのです。
情報収集はとても大切なことですが、それらは参考のひとつとして、まずご本人を軸にお話をしませんか? ぜひ、ケアマネジャーに親御さんのことを話してください。どんな仕事をして何に夢中になっていたか。大事にしている思い出、よく話すエピソード……。もちろんご本人からも聞きますが、ご家族が語る本人像を知るのもとてもうれしいのです。
また、ケアマネジャーに、ヘルパーさんにケアされているときの様子を聞いてみてください。きっと家では見せない、ご家族の知らない親御さんの一面を知ることもできると思います。同じ目標に向かうチームの一員としてコミュニケーションを深めていきましょう。
【プロフィール】
矢尾眞理子さん/一般社団法人マリーゴールド代表理事。特別養護老人ホーム開設や介護ベンチャー企業での新規事業立ち上げなどを経て現職。認知症の実父の在宅介護を経験。「仕事と介護の両立」研修・セミナーを多数手掛ける。誰もが自分自身の人生を味わい尽くせる社会を目指し、同法人を設立。
※女性セブン2021年2月4日号